第14話
『ついに2階か』
『待ちに待ったぜ』
『カゲオ君がピンチになる絵が見たい。同人の参考になる』
「え?同人?」
『カゲオ、お前同人誌のネタにされてるぞ』
『売れ行きが良いらしい』
「なん、だと、そういうのはアニメとかマンガでやるだろ?」
『知名度が大きくなりすぎたんだよ。その分配信の報酬が爆上がりだ。金持ちになれてよかったな』
『帰れないと使えないけどな』
『家と会社の往復でお金を使えず早死にするエリートサラリーマンのようだ』
「死なないからな。死ぬ前提で動いたら駄目だろ!ホノカ、サンダーミミックをここに、ミミックハウスをそこに出してくれ」
「うん、サンダーミミック!ミミックハウス!」
俺は行き止まりにミミックハウスを出して、通路にサンダーミミックを出した。
『2階に行かないのか?』
「いやいや、俺達はまだまだですよ」
『余裕で上に行ける』
『慎重すぎるだろ』
『まあ、分からんでもない。1発でも攻撃を受けたくないんだな』
「ほんとそれな!もっと言うと、ファントムの群れと闘ってからレベル25まで行った、でもファントム戦から帰ったらレベル18に下がった。最低でもレベル25までは上げる。更にホノカにももっと強くなってもらう」
『お前、いつになったら上に行くんだよ』
『あれだ、かすり傷でも痛みはある。苦痛耐性があっても痛みを感じる事は感じる』
『他人事だから前に出ろとか言える。実際にダンジョンに入って稼ぐ冒険者ならカゲオの言っている事は分からんでもない。まあ、俺なら金の為に先に進むけどな』
『カゲオは金があってもダンジョンから出られない、金を稼ぐモチベは自由に出入りできる冒険者ほど上がらんでしょ』
「苦戦!ダメ!絶対!」
『同人誌で使われそうなセリフだなwwwwwww』
「おし!焼肉だ!」
「うん、私が焼くね!」
『炭に火を付けて焼肉を始めた』
『余裕なのか慎重なのか分からない』
『煙の臭いでスライムが集まって来るだろ?』
「食べたかった」
『シンプルな回答』
『コーヒーの準備も始まった!フルーツをカットして楽しそう』
『ダンジョンでキャンプエンジョイが始まった』
「おま!来いよ!今すぐ来い!ダンジョンの中で焼肉をやってくれ!みんなでやれば魔物をたくさん倒せる!」
『急に怒り出した』
『スライムが、あ、サンダーミミックが倒した』
「レベルが上がったよ」
「おめ、しばらく続けよう」
『ボス以外はサンダーミミックに倒させる気か』
『戦力は着々と強化されている』
『ありえない速度で成長している』
『そして肉をむしゃむしゃと食べているwwwwww』
「ふう、満足だ」
「かたずけておくね」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「ランニングしつつスライムを狩って来る」
俺は走りつつ目についたスライムを狩る。
◇
戻って来るとホノカがタオルを渡してくれた。
「サンキュ、ふう、レベルが上がった」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「地震、か?」
前の部屋から土煙が舞った。
「なん、だ?」
カナタ『バランス調整型のスタンピードです!』
「え?どういうこと?」
『ダンジョン1階から5階までの魔物が集まって来る』
『前の部屋に螺旋階段が出来てないか?1階から5階は同じ空間で繋がっている。螺旋階段から魔物が押し寄せてくるぞ。原因はカゲオだ』
「はあ!俺は何もしていない!」
『1階でスライムを乱獲した。そして回復する前に更に乱獲を始めただろ?それでダンジョンが偏った魔物のバランスを調整しようとして動き出したんだ』
「マジか!」
俺は前にある大部屋に走った。
螺旋階段が出現して、上から魔物の声が聞こえる。
「キシャアアアア!」
「ガルルルルルル!」
「カシャアアア!」
「来た!入り口に退避するぞ!」
だが、その前に俺を見つけた魔物が飛び降りてきた。
ミミックハウスの方向に逃げると完全に包囲され、そしてその後ろから更に魔物が攻めこんでくる。
サンダーミミックが魔物を攻撃する。
バチバチバチ!
倒してもその後ろから魔物が迫る。
「エナジードレイン!」
ホノカも後ろから魔法で援護する。
「くそ、処理しきれないか!」
俺は前に出て刀を抜いた。
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