第7話

『ファントム、都市伝説じゃなかったのか!』

『貴重映像じゃないか!』

『カゲオ、攻撃だ!』


「刀が効くのか?」


 俺は半信半疑で刀を構えた。

 だが、俺が攻撃する前にファントムが手をかざした。


 バチバチバチバチ!


「あれ?ダメージが無い?ちょっと痺れる程度か」

カナタ『ファントムは状態異常攻撃を繰り出してきます。同じ状態異常攻撃を受け続ける事で状態異常が悪化します!』


 まずい!まずは攻撃だ!

 俺はファントムを刀で袈裟斬りにした。

 ファントムが霧になって消え、魔石を床に落とした。


「倒した。倒せる!」

カナタ『まだです!ファントムは4体セットで出てくると言われています』


「後3体か」


『ファントムは長い間同じ階に留まっていれば出てくるとか、階にいる魔物を大量に倒せば出てくるとか色々言われている。本当に出てくるとは思わなかった』

『時間が分かっているから検証可能じゃないか?少なくとも絞り込みは出来る』

『ファントムが出てくるまでの時間と魔物討伐数をまとめて切り抜き動画をアップします』


「俺で攻略サイトを作ろうとしてないか?」


『それ含めての英雄なんじゃないか?』

『英雄、また前から来るぞ!』

『3体来た、やられる前にヤレ!行くんだカゲオ!』


 俺は走ってファントムに斬りかかる。

 毒魔法を避け、電撃を避けて1体を倒した。


「ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 2体のファントムが絶叫を上げる。

 そして発光を強めて抱きついてきた。


 避けきれない!

 急に速くなった!

 それに攻撃をすり抜けた!?


 ファントムは俺に抱きつくと消えた。


「なん、だ?」


『憑依された?』

『なんともないのか?』

『ステータスに状態異常はない?』


「レベルが、2、下がっている」


『こわ!これは、検証頑張ってくれ。強い冒険者ほどやりたくない案件だ』

『幸いファントムの戦闘力は高くない。レベルを下げてくる自爆攻撃はごめんだけどカゲオが実験台になるならいいやwwwwww』

『5階に行け。階を変えれば出てこなくなる可能性がある。長い間同じ階に留まったのが原因かもしれない』


「うん、決めた」


『ついに2階に行くか!』

『山が動いた!』


「何を言っているんだ?まだ2階には行かない」


『検証か、助かるぜ。俺は苦労してダンジョンに潜りレベルを上げて来た。自分で試すのは嫌だが検証してくれるなら助かる』

『あざーっす!カゲオの犠牲は無駄にはしない』


「検証もしない」


『じゃあどうするんだ?』

『まさか、黒スーツマッチョに押し付けるとか?』

『カゲオならやる』


「俺がやるのは……」




 ◇




 俺は、無数のファントムに囲まれていた。


『カゲオ、やっぱり狂ってるわ』

『あの両親の血を受け継いでいるよ』

『ある意味英雄だな。まさかあれをやるとは』


『英雄は馬鹿か天才だ。カゲオを見ていて分かったわ』

『カゲオをバカにするんじゃありません!ぷんぷん!この子はGの力と鉄壁を持っているのよ!ぷんぷん!回避タンクとガードタンク両方を備えているのだから』

『歴史的な瞬間を見る事が出来た。70年後、あの世で会おうぜ。カゲオ、お前が死んでも俺は覚えているぜ!』


 俺は、今ピンチだ。


 4体のファントムと遭遇した後、俺は……


 あの時の判断をミスしたのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る