第8話

 ファントム4体と遭遇した後に話はさかのぼる。

 俺はファントムが向かって来た方向に歩いた。


『カゲオ、何してるんだ?』

『意味不明だ』

『たまに奇抜な事をするよな』


「皆、気にならないか?ファントムがどこから現れたのか」


『気になるけど、知ってどうするんだ?』


「ゲームみたいに隠し階段とかあるかもしれないだろ?そこから外に出られるかもしれない。宝とかあるかもしれないだろ?」


『それか死ぬかもしれない』

『なんか、心霊番組みたいになって来たな』

『ファントムだけにな』


「見てやばそうなら逃げる」


『よし、行け!カゲオ!』

『生き生きし始めたぞこいつwwwwww』


「ここから先は分かれ道だ。どっちから来るか分からない。次ファントムが出てくるかもわからないから皆は配信を見ずに眠ってくれ」


『うざいんだろうなwwwww俺達が』

『こいつ暇があるとベンチに座ってお菓子を食べだす』

『しょうがない、最初より痩せている』

『ダイエットになって良かったね』

『俺もチョコ買ってこようかな』

『チョコとコーヒーって合うよな』

『来た!ファントムが来た!』


「こっちか!」


 俺は4体で迫って来るファントムを斬り倒したが、毒の状態異常を1回受けた。


『ち、レベルダウンはしなかったのか』

『ポーションが無いから毒の方がきつくね?』

『1発受けただけなら毒状態はすぐに治るだろう』


 こうして俺はファントムが向かってくる方向に進んだ。




 ◇




 そして、俺の目の前に魔法陣が出現し、ファントムが現れた。


『おおおおおお!遂に発見!』

『お手柄じゃね?』


 俺はファントムが出て来た魔法陣に斬りこんでファントムを倒した。

 魔石を拾い、魔法陣を見つめる。


「ここって、入れるのかな?」


 俺は魔法陣に乗った。


カナタ『危険ですよ!』


「転移!」


 そして俺はワープして、違う場所に飛ばされた。


『うああああああ!ファントムだらけだ!』

『川が流れている、あの世じゃね?』

『画面いっぱいにファントムがいる!』


 俺はアーチ状の橋に立っていた。


 後ろから何度も電撃を放たれ、咄嗟に前に走った。


『早く魔法陣に戻れ!』

『ファントムが魔法陣を守っている!ここでカゲオを殺す気だ!』


「ここも配信が届くのか」


 そう言ってファントムに斬りかかる。

 刀を1度振るだけで3体のファントムが魔石に変わった。


『こいつら、絶対に逃がさない気だ』

カナタ『魔法陣に乗ってください!』

『いや、もう手遅れだ』



 ファントムが俺を集中攻撃する。


 バチバチバチバチバチバチバチババチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!



「まず、い!しびれ、あががががが!」


 俺は地面に倒れるが、それでもファントムの攻撃は止まない。

 俺は完全に動きを封じられ、無数の状態異常攻撃を食らった。

 ダメージは無い、だが、動きを封じられる!

 

 動けない状態で毒はまずい!

 スリープもまずい!

 まずいまずいまずいまずい!


 俺は、意識を失った。




 ◇




カナタ『……きて!』


カナタ『起きてください!カゲオ君!起きてください!』


 カナタの、


 カナタが泣きながら叫んでいる。


 声が聞こえる。


 目を開けると、痺れが取れていた。


 毒も抜けている。


 だが、ファントムはまだ健在だ。


 俺は刀を握ってファントムを倒した。


『おおおおおおお!奇跡が起きた!』

『何で起きられるんだ!おかしいだろ!』

『画面から目が離せない』

『今日は仕事休むわ』


「うおおおおおおおおおおおお!」


 状態異常攻撃を無視してファントムを惨殺した。


「「ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」


『レベルダウンの自爆攻撃だ』

『ファントムは勝てなくなるとこれをやる!パターンが分かって来た!』

『レベル1に戻るだろうな』


「レベルが1になる前にファントムを経験値にしてやる!」


 俺は流れに逆らうようにファントムを倒していった。


『カゲオに吸い込まれるように魔石が集まっていく』

『自爆特攻、ファントムは命が惜しくないらしい。ファントムに命があるかどうかわからんけど』


 俺はファントムを斬り、ファントムは俺にレベルダウンの自爆攻撃を仕掛けてくる。




 そして、すべてのファントムが消えた。


「カナタ、終わった。俺、生きてるぞ」

カナタ『……バカ』


 俺は無言で魔石を回収した。


「魔法陣に乗ればいつでも帰れる。でも、探索したいよな」

カナタ『駄目です!帰ってきてください!』


 その瞬間にカナタの通信が切れた。

 そうか、俺の思ったように動いてもらう、そういう意思が働いているのか。


『こいつマジでイカレてるぜ。もっとやれ!』

『俺も橋を降りた先の赤い鳥居が気になってたんだ』

『行け!カゲオ!』

『いや、本当に危ないぞ』

『それよりステータスを見せてくれ』



 俺は無言でステータスを表示させた。




 カゲオ

 レベル:24→10【ダウン!】

 ジョブ :スケルトン

 スキル『ストレージ』『生活魔法』『鉄壁』『スタミナセーブ』『治癒力アップ』『全耐性【NEW!】』




『全耐性来たああああ!』

『怖い怖い!全耐性は始めて見たわ!』

『うげえええええええええええええええええ!!』

『どんどん人間やめてるわ、予想の斜め上を行く』


 しばらくの間、キューブから声が流れ続け、誰が何を言っている分からない状態が続いた。


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