金級冒険者アリーの独白

“豊穣の灯り”リーダー

 アリーの視点です


 ――◇◆◇――



 私の名前はアリス・ワーデルス。オルシア王国のワーデルス領を治めるお父様の一人娘。

 だからかしら、だいぶ甘やかされて育てられてきたわ。お父様もお兄様も私のわがままを聞いてくれるもの。お母様は怒らせると怖いのだけれど……。


 そんな私は今、期限付きで冒険者として活動しているの。貴族社会で行き遅れと謂われないギリギリの年齢18まで、ね。

 もちろん、両親からは強く反対されたわ。お兄様はイケイケでしたけれど。


 私の持つギフトが強力な魔法だったことと、“天稟の生まれつき持っているスキルギフト”を持っていたことが幸いして、認められましたけど。



 なんでこんなにも私が冒険者にこだわっているのか――

 それには、もちろん絵本のように魔物をなぎ倒したり、外の世界を知るという冒険者への憧れがあるのだけれど……これは二の次で。

 

 私はとある人に恋をしているの。その人をどうにかして、お婿さんに迎えたいのよっ!身分なんてものは、交流のある爵位持ちの方に養子として迎え入れてもらえば解決よ。千年王国の秘訣は実力主義にあり、ですわ。



 だからといって冒険者にまでなる必要はないと言われてましたわ。…たしかにその通りではあるのだけれどね?

 始めこそ、私だって辺境伯の長女として接触を試みていたわ。命を救ってくれたお礼という名目しか、こっちに切れる手札はなかったのだけどね。さすがに恩人相手に身分を傘にして接するなんて、はしたないのでしないわよ。

 その結果のまあ、捕まらないこと!のらりくらりと躱される始末。


 そうして、いっそのこと同じ冒険者になってやるわと思い立って早3年。いつの間にか金級よ!?長女なのに、名誉貴族としての身分を貰えちゃったわ…。

 分家として独立ができちゃう立場になっちゃったのよ……長女なのに…。


 それでも、なんとか…友達からでもいいからって、話しかけようとしたの……。


 それなのに……それなのに、レオンって人は!ずぅうっと、私の事を避けるのよ!なに?私、悪いことしたのかしら?!そりゃあね?身分の違いとか教育の差で、常識がすれ違っているかもしれないけれど!それでも、貴族ってそんなに関わりたくないものかしらね?!



――はぁ、はぁ……ふぅ、ちょっと取り乱したわ。


 それでも、どうにかして一緒にいられる約束を取り付けられたのよ。1日……ううん、半日でもいい。この機会は無駄にはしないわ。絶対に“友達”になって見せるんだから!



 ……帰ったら、まずはリオ君の加入を前向きに検討しないといけないわ。うん、パーティーメンバーと要相談ね。

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