第24話
ロシアはどんどん追い詰められていくので核の威嚇をしていった。そして実際に海に落とすなど今まで以上の本気度だった。ただそのような政府の強がりに反してロシア国内では戦争反対派達の動きが酷くなっていった。プーチン大統領は自分を非難する過激派達を全員暗殺したり逮捕していたが反戦派は規模が大き過ぎて弾圧しきれていなかった。今やロシア人達も自分たちが負けているといい加減気づいていたし樺太に親族がいる人などは親族から送られてくる情報によって完全に事実を知っていた。その結果ロシア人らは目を覚まして今まで嘘を教えてきたプーチン政権への怒りが大爆発した。プーチン大統領は彼等を押さえつけようとしたがそれに合わせてアレクセイナリワヌイ氏を始めとする反体制派の動きも活発化した。反体制派の多くは収監されていたがインターネットを使って色々な活動を呼びかけていた。そして遂にはイラン、ベラルーシ、ロシアの反体制派は手を結び始めて更に勢力を拡大していった。各国がその対応に追われているうちにロシア軍はどんどん占領地を失っていって遂には国境周辺まで押し戻されてしまった。そもそも同士討ちや弾丸を置いて逃げたりするなどの行為でウクライナ側を応援しているようなものだったのだ。更にやっと到着した陸自も参戦してロシア軍に勝ち目は殆どなかった。
そして迎えた8月24日、戦争開始から1年半でウクライナの三十二回目の独立記念日、ウクライナ軍と自衛隊は遂に渡河作戦を開始してクリミア奪還作戦も開始した。クリミア大橋が破壊された今、空輸や海輸以外に補給方法が存在しなくて事前に空自部隊とウクライナ空軍が上空に行って徹底的に対空兵器を潰していた。そもそも長い間のドローン攻撃によって何処が重要な対空兵器がある場所なのかと知られていてパルチザン達が協力して爆発を起こすなどして対空兵器の数を著しく減らしていた。またウクライナ軍兵士の一部は元々クリミアに住んでいたりなどで10年ほど前だといえど地理感があったのも役に立った。
また制海権は海自が取っていたしトルコも少し密かに協力してくれた。その為補給が途絶えているロシア軍は飢えに苦しみ、ウクライナ軍に降伏するか、督戦隊に見張られて自殺するか、勝ち目のない戦いに行って死ぬかの選択肢しかなかった。ほとんどの兵士は戦わずに降伏を選んだ。降伏した人たちは捕虜交換でロシアに帰る事ができたり、クリミア出身の兵士などはウクライナ軍になって戦い始めたりした。多くの市民はウクライナ軍を見ると喜んだ。皆、一見は2014年の併合を喜んでいるように見えたが実は粛清されないように怯えて暮らしているだけで本当は自由なウクライナに戻りたかったのだ。親露派は一部だけだった。親露派や一部の兵士は最後まで戦い続けたがウクライナ、自衛隊が協力して奪還作戦を開始してわずか1ヶ月で全ての領土を取り返すことができた。
残っている問題はどうやって和睦を結ぶかだけだった。ただしそれは意外な事にすぐにできた。
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