フライトは楽しめたかな?
なんか、でっかい金属の塊の前で立ち尽くす、あーし……。
これを、どうしろと?
「うーん。使い方が分かんないよ~。これをどうやって動かせっていうのかな~?」
あーしがそう言うと、"扉"が現れた。
あーし、考える。
「う~ん。輸送できる人~」
『あ~、もう! 使い方~!』
女神様も、そろそろあーしの使い方を熟知して、それっぽい人を召喚して欲しいな~。あーしを変えるんでなくて、女神様が対応してよ。
あーしは、ドアノブを回した。
そして、その人が現れた。
「ここは、何処ですか?」
「あーしは、スピネル辺境伯の領主。リナ・スピネルって申します」
来てくれたのは、チャールズ・リン〇バーグさんだった。
いつも通り、交渉だ~。ジャガバタを出すと、美味しそうに食べてくれた。
「ふむふむ。この宝物を飛行船に積み込んで、運ぶんだね。重機は……、未来のモノみたいだが、操縦してみせよう。任せてくれ」
「あり~す」
うん、良い人だ~。良い人しか来ないな~。
チャールズさんが、ショベルカーで宝物を次々に輸送機に運んだ。
十数回の往復で、全部詰め込めたんだ。
「それじゃあ、出発しよ」
「ちょっと待ってくれ。マニュアルを読む時間をおくれ」
う~ん。まあいっか。もう夜中だし。
あーしは、宝物のベットで仮眠を取ることにした。
「金貨のベットって、童話で聞くけど、実際にやってみると、背中が痛いんね……」
◇
朝日と共に起き出すと、チャールズさんがプロペラを回し始めた。
「うーん。朝日は気持ちいいけど、山頂なので寒いな~」
「リナ嬢。準備万端だ。出発しよう」
チャールズさんは、一晩中起きてたんだ?
輸送機が浮き上がる。ちょっと怖いな~。
だけど、水平飛行に移ったら揺れも収まった。
「こう、こうかな……。それと、これとこれのスイッチを入れて……」
チャールズさんは、マニュアルに目を通しながら運転してくれている。
そんなに慌てなくてもいいんだよ?
それよりも、方角合ってる?
数時間のフライトで、無事にスピネル辺境伯の領地に帰って来れた。
あーしの居住している屋敷の中庭に着地して貰う。
領民が、何事かと集まって来た。ザワザワしている。でもそうだよね~。こんな金属の塊が空飛んでんだもん。あーしも不思議だった。
「ふう、着地成功。フライトは楽しめたかな?」
「ありーす。チャールズさん。楽しかったよ~」
ここで、"扉"が現れた。
チャールズさんと、握手を交わす。
「輸送機は、いいモノだった。手入れを怠らないようにね」
「了解っす。ありがとうございました」
チャールズさんが、帰って行った。
チャールズさんのお土産は、"整備マニュアル"と"操縦"だ。
「さーて、やることが一杯だぞー。ちょっと時間がかかり過ぎだよね~」
あーしは、「う~ん」っと伸びをした。
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