扉サモン、扉カモン! ……あれ?

 開拓を頑張っていると、王都から使者が来た。

 久々登場の、オーソクレイル卿だ。


「うん? 魔人国に進軍するの?」


「はい……。王国に向かっていると連絡があり……。先にこちらから仕掛ける様に命令が下りました」


 そうなん? 砦からは、何も連絡来てないよ?


「それで、スピネル辺境伯領からも兵士を出して欲しいのですが……」


 う~ん。

 交渉したら、半分の兵士を連れて行かれることになった。

 それと……。


「リナ……。それでは、行って来るね」


「兄上さま。将軍としてよろしくね~」


 兄上さまに、辺境伯軍を纏めて貰うことにしたのだ。

 もう、大出世だね。


 こうして、王国軍が進軍して行った。

 あーしは、それを見送る。


「大丈夫なんかな~。本当に魔人国は動いてんのかな~?」


『ダメでしょうね。敗戦確定です。それと、魔人国は軍を動かしてはいません』


「え~。なら行かせなかったのに~」


『王族の命令ですからね。辺境伯の命令でも、命令のキャンセルは無理ですよ?』


 兄上さま、大丈夫かな?





「う~ん。そろそろ麦を育てたいな~」


「どうでしょうかね……。牧野富〇郎さんは、再来年と言われたのでしょう? 小規模の農地で試すのであれば、良いかと思いますが……」


 文官Aさんは、反対みたいだ。

 そうだよね~。まだ一年なんだし。あーし、慌て過ぎだ。


「そんじゃ、各地の生育状況を調べて来て。そんで、小規模でいいからさ、各地で麦を育ててよ」


「承知しました。それで、ご報告があります。害獣の被害が増えております」


 農業は大丈夫かな、っと思ったら害獣?


「鹿や猪が、野菜を食い荒らしております」


 う~ん。また、問題発生だ~。次から次に来るな~。でも解決しないとな~。それが、辺境伯の仕事なんだし。

 あーしは、現地に足を運んだ。



「う~ん。芽が出たら食べられているのか~。面倒な獣がいるみたいだね~」


「どうやら、新芽を好んで食べる獣がいるみたいで……」


 今こそ使うべきだ。


「扉サモン」


 ――シーン


 あれ?


「扉カモン!」


『ゴホン。今回は、異世界の勇者に頼らないで解決しましょうね~』


 ぶ~。女神様は、ケチだな~。


 話し合いを持った結果、柵を作ることが決まった。

 それと、捕まえた狼や犬を飼うといいらしい。

 狩人さん達に、狼の捕獲をお願いする。


 村民たちが意見を出し合って、実行に移る。


「他の村にも伝えないとね~。水平展開よろしく~」


「承知しました。お任せください」


 文官Aさんは、優秀だな。

 そんじゃ、あーしも働こうか。


「リナ様? どちらへ?」


「せっかく"ライフル銃"を貰ったから、鹿を狩って来るね~。運搬の人手の手配をお願い」


 ふっふっふ。あーしには、"狙撃"スキルがあるのだ。今日のお肉は、期待していいよ。

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