兄上さま~。無事でよかったよ~

 あーしは、教会で祈りを捧げた。

 お祈りポイントを少しでも増やしたい。そうすれば、"ストア"で何か買える。まだまだ、ポイントはいっぱいあるけど、何時大量消費するとも限らない。


 ここで、教会のドアが開かれた。


「リナ様。戦争が終わりました。王国の勝利です!」


「はえ?」


 話を聞くと、帝国軍は、辺境の砦に辿り着く前に帰って行ったらしい。

 何か……、奇襲を受けて壊滅状態だったとか……。


「間違いなく、ジーク殿ですな」


「砦の兵士たちは~? 出兵したの?」


「いえ……。砦を守っていたそうですが?」


 そうなると、独りで向かったんかな~?

 ジークさん、怪我してないかな~。


 あーしは、急いで砦に向かった。





「うわ……。大怪我してんじゃん」


「ふっ。かすり傷さ」


 あーしは、"ストア"で大量にポーションを購入した。


「おお、ポーションか……。伝説級なのにそんなに一杯出せるんだな。リナ嬢は、凄いスキルの持ち主なんだな」


「いいから、早く飲んでよ!」


 ジークさんが、お酒を飲むようにポーションを飲んで行く。

 ついでにおつまみを要求して来た。

 あーしは、何時ものジャガバタを出すと、喜んで食べてくれた。それと、パンにチーズと肉を挟んで食べ出した。

 ああやって、食べるんだ……。


「ふ~。一息ついた。さて、もう一狩り行くか」


「え~。撤退したんだし、大丈夫じゃない?」


「密偵狩りだ。そうだな。砦の兵士たちにも手伝って貰おうか」


 ジークさんが、視線を移すと、兵士たちがビシッとした。ピリリと雰囲気が引き締まった感じだ。白起さん達とはまた違う、存在感だな~。


 数日後、帝国側から終戦協定を結びたいと連絡が来た……。





 帝国との交渉で、捕虜が帰って来た。

 兄上さまも戻って来たのだ。


「兄上さま~。無事でよかったよ~」


「リナ……。なんで、辺境伯になってんだ?」


 女神様が、あーしに協力してくれていることを説明したんだけど、理解できないみたいだ。つうか、ドン引きしていた。

 兄上さまは、父上の屋敷に向かった。

 あーしの補佐は、してくれなかったんだ。


「う~ん。人手が欲しかったのにな~」


『……妹が、男爵代理から辺境伯になったら、そりゃ怖がられますよ~。侯爵と同等の地位なんですからね~』


 そうなんだ?

 あーしは、怖がられている。実の兄に?


『ここまでの話だけ聞けば、超危険人物じゃないですか~?』


 う~ん。危険な人物を召還したのは、"扉"じゃん?

 あーし、ドアノブを回しただけだし~。


『あなたの発想力が、危ないと言っているのですよ~』


 マジか~。

 あーしは、危険人物認定されてんのか~。

 兄妹仲を、どーすっかな。

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