ドラゴンスレイヤーだ!

「え~。帝国が攻めて来るの~? 王国軍が敗走?」


「はい……。兄上さまも行方知れずと連絡を受けております。敗走というか、壊滅状態らしいです」


 話を聞くと、この辺境の砦に帝国軍が向かっているらしい。

 砦の兵士たちも大慌てだ。だけど、兵士さん達は、戦えるのかな?

 う~ん。困ったな~。戦争は嫌だな~。

 それに、砦の兵士たちでは、頼りないな~。


 そう思っていると、"扉"が現れた。


「うん? 女神様? いきなし、どうったの?」


『後手を踏むと、王国が滅びますね~。先手必勝で~』


「あーし、戦争嫌なんよ。何とか回避できない?」


『それならば、そういう人を願ってくださいね~』


 なんか、女神様? 棒読みじゃない?


「う~ん。戦争を終わらせてくれる人!」


 ――ガチャ


『ちょっと~!? ザックリし過ぎ!! 毎回、そんな危ない使い方しないで~~!!』


 扉が開かれて、誰かが出て来た。



「……ここは、何処だ?」


 うおー。でっかい剣だな~。そんなん持てるのって突っ込みたくなる。

 すっごい、ゴツイ人だ~。頼もしそうだな~。

 あーしは、一礼した。


「あーしは、スピネル辺境伯の領主。リナ・スピネルって申します」


「……ジークだ。ジーク・フ〇ート。竜殺しと言えば伝わるか?」


 おお! ドラゴンスレイヤーだ! 今回も期待できそうだな~。



「ふむ……。帝国が王国に進行中と……。経路も分かっているのか」


「この村は、辺境なんっす。この辺境を通って来るみたいなんですけど、一本道しかないんよ。なんとか、戦争の回避をお願いします」


 あーしは、頭を下げる。


「……ふっ。数は、一万程度なんだな。分かった、任せて貰おう。蹴散らすのになんの問題もない」


「「「おおお!」」」


 ものすっごい頼もしいんだけど、怖いな~。


「戦争に行くの?」


「リナ嬢……。誰しもが武器を取る必要に迫られる時がある。その時から逃げれば、その後の人生は逃げ続けることになる。戦争の早期終結。まあ、勝報を期待して待っていてくれ」


 ジークさんは、それだけ言って旅立ってしまった。

 う~ん、今回は、人選を誤ったかな~。


『……戦争は、最短で終了するでしょうね~』


 あれ? 女神様? 声が呆れているんだけど?


「こう……、平和的に話し合いを行う人が欲しかったんだけどな~。ラ〇プーチンさんとか、また来て欲しかったな~」


『……アホ。そうなら、そう願ってドアノブを回しなさいよ! 神話に出て来る人物を召喚しないでよ。つうか、もう人じゃないじゃない! 半神か神じゃないの! そういう作品は、いっぱいあんのよ!』


 アホって言われた。

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