領主の仕事って、仕事を与えることではないんかい?

 ク〇ントさんは、10日間毎日出航してくれた。

 そして、毎日サメを釣り上げて来た。


「やっぱ、凄い漁師さんだったんだな~」


 並べられるサメさんたち……。

 港町の漁師たちは、唖然としてるよ。

 それと、食べられるらしいので、調理方法も教えて貰おうとしたんだけど……、人を襲ったサメは食べないとのことだ。血肉は、海に帰して、骨は加工品にするらしい。


「リナ嬢。もうサメの姿が見えなくなった。残ったサメは、逃げて行ったのだと思う。漁業ギルドに話して、出航を許可してやってくれ」


「ありがとう、ク〇ントさん。助かりました~」


「ふっ。美味しいジャガバタのお礼だ」


 ここで、"扉"が現れて、ク〇ントさんが帰って行った。

 お土産は、"小説ジ〇ーズ"と"釣り竿"だった。


『……危ない人ですね。これからどうなるのか、怖いです』


「うん? そんなに怖い人じゃなかったよ?」


『"危ない"の意味が、違うのよ……。もう、説明する気力もないわ……。後から抗議が来たらどうしましょうか……。うう、胃が痛い』


 女神様も疲れるんだ? 何か悩んでる?

 まあいいや、これから港町との交渉だ~。失敗はできないのだ~。

 そう思ったんだけど……。


「「「リナ辺境伯に、全面的な協力をお約束致します」」」


 港町の全員が、頭下げて来たんだけど?

 あーしは、なんもしてないよ?

 軽油を買っただけ……かな?


 まあ、いっか。


「そんじゃ、海の幸と山の幸の交換をお願いね~。いっぱい交流してね~。スピネル辺境伯領の物流を豊かにしてね~」


「「「承知いたしました」」」


 やった~。今回も、とっても上手く行った~。


 帰り道、突然、女神様から言われた。


『塩も、海の幸も"ストア"で買えば、良かったんじゃないですか~?』


「う~ん。それだと物流が偏っちゃうよ~。領民の仕事を奪う事になんない? あーしは、仕事を増やしたかったんよね」


『バカっぽいのに、考えてはいるんですね』


 領主の仕事って、仕事を与えることではないんかい?





 スピネル辺境伯の屋敷に帰って来た。

 ちなみに、お父さまは、移って来ない。自分の屋敷で過ごしたいらしい。スピネル男爵さまのままなのだ。

 そんな訳で、あーしは代理ではなくなったのだ。


「気が付いたら、お父さまより上の爵位になってたな~」


 お仕事、頑張ろう。

 まず、目の前の書類の山を、どうにかしないとな~。

 そんな時だった。

 ドアが乱暴に開かれた。


「どうかしたの?」


「王都より、手紙が届きました。戦争の状況が記されているとのことです。それと、兄上さまの近況も書かれているかと」


 え? 兄上さま?

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