貧乏くじ引いたかな~

「うーん。やることが山積みだ~」


 領地が一気に10倍になったんだけど、何処も飢餓状態だった。

 辺境伯が溜め込んでいた麦を、領民に放出する。あ、種籾は、残してね~。

 それでも、食料が足らない場合は、スピネル領からジャガイモを提供した。白米は……、もう一回収穫してから、皆で食べよう。食べ方も分かったんだし。


 畑を耕して、ジャガイモを植える。

 沼地には、米を撒いて貰う。生育方法は……、もうちっと待ってね。あーしが追い付けない。"植物図鑑"が読めてないんよ。


「う~ん。食料はやっぱ麦を育てたいな~。ジャガイモ、白米、小麦って育てられれば、一種類の生育が悪くても、飢えることはなくなると思うんよね~」


 それと、海だな~。なんと、港町まであーしの領地になった。

 海産物は、大きいと思うんよね。それと、塩だよね~。


「リナ様……。いえ、リナ辺境伯。鉱山はいかがなされますか? 金鉱山と宝石鉱山があります」


 あ~、もう。また別な問題だよ。


「鉱山労働者は~?」


「食料を多めに与えるようになってから、生産が増えました。今こそ拡張すべきかと」


 次は、別な役人だ~。


「リナ辺境伯。領民は、衣類と住居を求めています! そちらに投資すべきです」


「いえ、リナ辺境伯。この地は、帝国領と魔人領に隣接しております。今こそ、兵士を鍛え直して、侵攻すべきかと」


 皆、言いたい放題だな~。

 話を聞くと、前任の辺境伯は、ほとんど仕事をしていなかったらしい。

 そんで、不満が一気に爆発したんかい。


「はあ~、貧乏くじ引いたかな~」





 まず、衣類だ。"ストア"で、購入することにした。領民が、奪い合って行く。

 領民には、畑作業の後に、各集落で住居を作る様に依頼した。テント暮らしの人たちもいたので、これは従ってくれる。それと、元兵士たちにも重労働をになって貰った。


「毎日の成果を報告してね。それと、悪評が立った隊には……、罰ゲームあっからね?」


 それだけ言ったら、どの隊も毎日ノルマを熟してくれている。やれば、できる人たちだったんだ。もしかすると、"統率"が働いてる?

 まあ、鉱山労働を行って貰う予定だったんだけど……、鉱山は今のままの人員で大丈夫かな?


「魔人さんたちは、こっち見てる?」


「いえ……、この数年は目撃情報はありません。帝国の方も動きがないと連絡を受けております」


 それって、兵士を遊ばせてただけじゃん。何してたんだか。


「そんじゃ、あーしが気にしている港町に行こっか」


「あそこは……、独立自治を宣言しておりまして……。従うとは思えません。放置がよろしいかと」


 ふ~ん。そうなんだ?


「一応さ、新任の辺境伯の挨拶ってことで」


「では、護衛を百人ほど連れて行って下さい」


 もう危ないことは、嫌なんだけどな~。


「それと、港町は何か欲しいモノってないの? 塩と交換したいんだけど……」


「……麦でしょうな。いえ、山の幸……チーズでも持って行けば、喜ばれるかと」


 文官Aさんは、優秀だな~。


「そんじゃ、お土産用意して、行こっか~」

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