あーしが辺境伯?

 辺境伯の城に着くと、皆縛られていた。


「わ~。何してんの~!?」


 ちょっと、ちょっと。怖いよ~。


「おう、リナ嬢。良く来てくれた。投降兵と辺境伯の親族を捕まえておいたぞ」


 流石のあーしも、ドン引きだ~。

 女神様も怖い人を寄越しだもんだ。しかも、3人連続だよ。


『戦争パートですからね~。中途半端な人を召喚するよりは、実績のある人に来て貰いました』


 う~ん。あーしは、のんびりと男爵領を開拓してたかったんよね。

 戦争は、嫌だな~。


「リナ男爵令嬢様! 辺境伯の土地と権利を譲渡する! だから、命だけは助けてくれ!」


 あーし、殺す気ないよ?

 白起さんを見る。


「リナ嬢。騙されるな。こいつらは、生き延びたら再び武器を取って襲って来るぞ……。ワイは、歴史を知っている。燕と斉という国の話になる。生き延びた王族が、滅びかけた国を立て直してだな……」


 ふむふむ。復讐か~。

 シモ・〇イヘさんに身内を殺されてるんだし~、あーしが主犯だと分かったら、復讐に来るよね……。

 でも~、ここにいる人たち全員か~。

 女性も子供もいんのよね~。


「待ってください!」


 ん? 誰だ?

 なんか、ビシッとしたイケメンが、馬に乗って来たぞ? 護衛は、10人だ?

 白起さんが、あーしを庇う位置で守ってくれる。

 領民も、奪った武器を構え出した。


「私は、オーソクレイル侯爵代理だ。視察に来ていたのだが、神託があったのでこの城に来た」


 神託?


「女神様~? なんかした?」


『……事後処理は、オーソクレイル卿に任せましょうね~』


 ふ~ん。今回は、異世界召喚じゃないんだ?



「ありがとうございました。白起さん」


「虐殺を行わなくて、良かったよ。ワイにもリナ嬢のような同僚がいればな……。また違ったのかもしれない。それじゃ、頑張るんだぞ。戦争になるんであれば、また呼んでくれ」


 白起さんは、"扉"を潜って帰って行った。

 白起さんから受け取ったのは、"孫氏の兵法"と"統率"だ。





「そんで、オーソクレイル卿? どうすんの?」


「兵士は、リナ嬢が率いて貰いたい。辺境伯の身内は、王都に移って貰う」


「ふむふむ~。もしかして、あーしが辺境伯? この辺一帯を纏めんの?」


 オーソクレイル卿が、キラキラオーラを出して、笑顔を向けて来た。


「それがいいと思う。王家には、私の方から上奏しておくよ」


 それを聞いた領民が、歓声を上げた。

 縛られている、兵士を見る。


「「「し、従います! 兵糧もお返しします」」」


 あーしは、そんなに怖いかな~。

 まっ、いっか。


「そんじゃ、良きに計らえ」

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