バター

 ラスプー〇ンさんに、ジャガイモのチーズかけを振舞うと、喜んでくれた。


「ふむ……。チーズもいいが、バターも作ってみてはどうかな? 基本的にかき混ぜるだけで作れるから、作れると思うよ? 手でかき混ぜるのではなく、機械を導入するんだ。そうすれば、子供でも作れる」


「へー、バターか~。領民に相談してみますね」


 軽い雑談をして、場を和ませる。新しい仕事ができそうだな。

 ここで"扉"が、現れた?


「あれ? 女神様? 早くない?」


『……ラスプー〇ンさんには、急いで帰って貰いましょうね~』


 ん? なんだろう?

 ラスプー〇ンさんを見る。

 ラスプー〇ンさんは、良い笑顔だ。女神様と会話でもしてんかな?


「ありがとうございました、ラスプー〇ンさん。もっともてなしたかったんだけど……」


「リナ嬢。これから辛いことも多く起こると思うが、しっかりとした意思を持って生きて行きなさい」


 ラスプー〇ンさんは、私の頭を撫でてくれると、"扉"を潜った。


『はあ~~』


 女神様の大きなため息だな~。





 3日後、王家の使者が来た。


「えっ? アゲート子爵領をスピネル領に編入?」


「うむ。アゲード殿は、爵位を返上して、何処かに消えてしまった。それと、リナ嬢を賞賛していてな。難民の受け入れは、王家も高く評価しているよ」


 あれ? ラスプー〇ンさんは、何をしたんだろう?

 まあいいか。領地が5倍くらいになった。領民は、3倍くらいかな~。


「拝命いたしました。これからも領地経営に尽力してまいります」


「うむ。リナ嬢には、王家も期待している。頑張ってくれ」


 王家の使者は、帰って行った。


「やった~。領地が増えた~。開拓頑張るぞ~!」


『あんな危ない人物を召喚して、成功するんですね~。運の良いこと。羨ましいですよ~』


 うん? 危ない人だったの?

 でも、結果オーライじゃん?





「え~と、ラスプー〇ンさんは、"聖書"と"催眠術"か~」


 まず、"聖書"を読んでみる。

 う~ん。何だろうこれ? 伝記ではなさそうだな~。でも、異界の書物なんだ。時間を掛けてでも読んで行こうと思う。

 それと、"催眠術"だ。


「……幻覚を見せるんかな?」


『最強系の一つですよ~』


 う~ん。使い方が難しいよ~。最悪、相手の精神を壊してしまいそうだ。


『王太子殿下でも操って、国を乗っ取ればいいじゃないですか~?』


 う~ん。興味ないな~。

 あーしは、この辺境を笑顔で満たしたいのだ。


「まあ、追い詰められたら使い道も見つかるっしょ。それまで、封印!」


『……それがいいでしょうね。賢い選択と言えます』


 あーし、賢くないよ?

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