チーズ3

「レンネット?」


「そうじゃ、レンネットが牛乳を凝固させるんじゃ」


 う~ん。講釈を聞くけど、製造方法は、生物の体内の液体? 第四の胃? 生産効率が悪いな~。

 もういいや、"ストア"で購入!


 ――ピ


 ――『購入には、百お祈りポイントが必要となります。よろしいでしょうか?』


 安い安い! 購入決定!


「うおい! 儂の存在価値がなくなるじゃろう!」


 迫〇喜二さんは、十分に知識を与えてくれていると思うんだけどな~。

 そんなこんなで、チーズ作りが、本格的に始まった。





「お~、できた、できた~」


「良いか? ホエーを取り除いて、塩を混ぜるのじゃぞ。詳しくは、この"乾酪製法記"を読むのじゃ。それと、ホエーには、プロテインが含まれておる。ホエイプロテインパウダーを生成して、領民に飲ませなさい。ゴリマッチョが増えるじゃろう」


「ありがとうございます。迫〇喜二さん」


 それと、迫〇喜二さんは、白米の食べ方を教えてくれた。

 脱穀してから炊くみたいだ。

 領民に振舞ってくれた。

 あーしも食べてみる。


「もぐもぐ。甘いんだね~」


「栄養価も高いんじゃぞ。それと、鉄分の補給にもなる」


 もぐもぐ。分かんないけど、新しい主食が増えるのは嬉しいな。

 迫〇喜二さんは、ご飯にチーズを乗せて食べ始めた。美味しいのかな~?


『ちっ……。白米にチーズはご法度だぜ』


 う~ん。白米さんは、少し怒っているな。

 食べ方のマナーなのかな?

 そんなことを考えていると、"扉"が現れた。


「儂はお役御免のようじゃな。リナ嬢……頑張るんじゃぞ」


「はい。ありがとうございました。迫〇喜二さん」


 迫〇喜二さんは、帰って行った。



「えーと、今回は、"乾酪製法記"と……なんだろう?」


『"動物との意思疎通"ですね~』


 ほうほう?


「牛さん。牛さん。聞こえる?」


『領主さん。厩舎をもっと清潔にしてください。それと、毎日運動のために外に出してね。歩きたいっす。そうすれば、乳ももっと出ます』


「あ、はい。気をつけます……」


 本当に、牛さんと話せるみたいだ。

 これは凄いスキルだと思う。


『あの~。異世界召喚のスキルは、本来神が持つスキルなんですけど? それよりも、"動植物との意思疎通"を有効視するのですか~?』


 あれ? なんか女神様が怒気を含んだ声で、突っ込んで来た。


「"扉"は、すっごい有効に使わせて貰ってます。あんがとね~」


『……分かっているんですかね~』


 神様との会話を終えたあーしは、領民に相談しに行った。

 厩舎の掃除と、牛さんの運動だ。


「牛の糞は、畑の肥料になりますからな~。分かりました。出来る限り、集めましょう。それと、運動ですか……。一人一頭引き連れて、村を一周させましょうか。一日一回でいいんですかね?」


 牛さんを見ると、頷いてくれた。

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