チーズ2
「まず、牛じゃな~。繁殖させるにしても時間がかかりそうだ。平地に野生種がいるかもしれないので、探すところからじゃな」
「なんていう、牛がいればいいの?」
「ホルスタイン種じゃの~」
「扉サモン!」
『……』
女神様が、無言で"扉"を出してくれた。
ホルスタイン種、ホルスタイン種、ホルスタイン種……。
あーしは、ドアノブを回した。
「「「モ~」」」
牛さんが、十頭来てくれた。
「ふむ……。いい牛じゃの~。乳もよく出とる」
領民たちが、乳絞りを頑張ってくれている。皆もチーズが食べたいんだね~。
「次に何を用意すれば、いい感じ?」
「まてまて、牛はデリケートじゃ。まずは、厩舎じゃな。それと、飼葉じゃ」
「扉オープン!」
『ぶ~。体重オーバー。じゃなくて、この扉は生物以外は召喚できません……』
ケチー!
そうなると、どうしよっかな~。厩舎を今から作るのは、日数的に問題だな~。それと、資材もないし。
迫〇喜二さんの要求する水準の厩舎を作れる職人もいないと思う。
『"ストア"を忘れていませんか?』
ああ! そうだった!
「ストアオープン!」
目の前にウィンドウが現れた。
厩舎、厩舎……。あった。
「購入!」――ピ
――『購入には、一万お祈りポイントが必要となります。よろしいでしょうか?』
ん? お祈りポイントってなに?
『女神像にお祈りすると、加算されるポイントですよ~』
ほうほう?
え~と、現在の保有数は……。十一万ポイント……かな?
『365日×10年×一日3回ですね~』
ふむふむ。女神様も数えてくれてたんだ。
よし、購入!
――ドン
大きな地響きと共に、でっかい厩舎が出て来た。これならば、牛さんを百頭は飼えそうだな~。
「ほうほう、随分と立派な厩舎じゃな。それと、飼葉は、周囲が山なので心配はないな。草を刈って干せば、冬でも持つじゃろう。それにリナ嬢は、魔法で生み出せそうだし、問題もなかろう。そうなると次は、殺菌方法じゃな」
殺菌? 牛乳を殺菌するの?
迫〇喜二さんの講義が始まった。教科書を渡されて、重要な部分を解説して貰う。
「う~ん。高温殺菌と低温殺菌か~」
「注意じゃ。絞った乳を直接飲むんじゃないぞ? 腹を下すぞ」
う~ん。今まで飲んでたんだけどな~。
家畜がいた時は……、だけど。
殺菌に関しては、火魔法の使い手にお願いした。領民にも魔法使いはいるのだ。
「沸騰しない、ギリギリの温度で30分くらいお願いね~」
「OKっす。任せてください」
領民の魔法使いさんは、手練れだったようだ。
「ふむ。よかろう。次は、凝固じゃ」
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