第2話、お嬢様は、大地に立たれたご様子でございます。
重原動機付き
◇
「ここが、始まりの街ですわね」
ヨーロッパ風の街並み。
中央広場の噴水の前だ。
うふふ、肌に風も感じますし、においもありますわ
…屋台で、串に刺したお肉が売られています…
「初めてこの世界に来た人に、一本サービスだよ」
店の人に声をかけられた。
「ありがとうございます」
ゴクリ
美味しそうですわ
生まれて初めて買い食いをした。
◆
黒須重工社製、重原動機付き動甲冑、“鈍龍(どんりゅう)”
原動機付き動甲冑が開発された最初期のものだ。
五層の装甲を誇る歩く防壁。
故に超重量。
バックパックの上下に、円筒状の原動機を二機装備するが、あまりの重量に歩くだけで精一杯である。
別名、”歩く
◆
ズシュン
ズシュン
重厚な“MA《モーターアーマー》“が歩き始めた
元から175センチ近い身長が“MA《モーターアーマー》“を着ることによって、180センチを越えた。
かろうじて女性型を表すのは足元のピンヒールだけである。
「うふふ」
ヘルメットのバイザーは、はね上げていた。
大通りを道なりに歩く。
ゲーム内時間で30分かけて街の正面門まで来た。
現実の時間の三倍に早められている。
ここから先は街の外だ。
街は、十メートルくらいの壁に囲まれている。
門から外に出ようとした。
ピピッ
[”プラネット・フロンティアオンライン”へようこそ]
[チュートリアルを行いますか?]
ナビゲーションが聞こえた。
ホログラフの女性が見える。
「受けますわ」
[”プラネット・フロンティアオンライン”の世界は、過去の地球が再現され、沢山の生物や綺麗な景色が、あなたの発見を待っております]
「楽しみですわ」
[このゲームには、経験値が存在しません]
[代わりにあるのは、
[ゲーム内では、“DP”と略されます]
「DP?」
[この世界で、見る、聞く、匂う、味わう、この世界を“識る”行為全てに、
[ステータス画面を見てください]
「あらっ」
ステータス画面を意識すると顔の前にポップアップされる。
0だったDPが10,000DP近く増えている。
街を歩いたDPだ。
[このDPを使ってあなたの“MA《モーターアーマー》”を改造しましょう]
[装備にはじまって見た目まで沢山用意しております]
「装備といえば、”鑑定装置”のことですわね」
[さあ、フロンティアランドで、綺麗な景色や経験を体感しましょう]
チュートリアルが終了した。
横座りから立ち上がる。
「さあっ、行きますわよ〜」
◇
お嬢様が街の外に一歩踏み出されました。
さあ、私もMAを選びましょう。
……これでいいですね……
軽量級のMAを選びました。
金髪にホワイトプリム。
口元はマフラーで隠しましょう。
肩とお腹がむき出しでございますね。
最軽量の小さな原動機が腰に横向きについています。
図らずも
”金髪爆乳クノイチメイド”の爆誕、でございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます