第3話 嘘付は全部ダメ?

嘘つき


とある町に

必死に机に かじりつき

勉強ばかりする少年がいました。


マサシの夢は

体の研究者です。


マサシには人に自慢出来る事があります

それは

どんな時でも嘘をついた事がない事。

そんなマサシです。

学校のクラスメートとも上手くいきません。

ふざけて嘘をつくことさえ

マサシは嫌い。

友達は平気で嘘をつくので

友達はいらない。マサシはそう思っています。


親や友達にも嘘はつかない。

嘘は悪いこと。


でも少しの嘘や、イタズラは

周りを楽しませる。

しかしマサシは嫌い。


そんな毎日を過ごすマサシに

パパがマサシに嘘をつきました。

パパはエイプリルフールだから

嘘をついただけでしたが

マサシは がっかりです。

その顔を見てパパは

楽しませる

幸せにする嘘でも、マサシは嫌なのかい?

「絶対嫌だっ!」

ふてくされ

さっさと寝ることにしました。

ベッドに入ると

あれ?

何かあります。

なんか臭い。

匂いの元を見ると

一個の 餡パンがありました。

餡パンを割ると

アンコは良い匂い。

臭い元はパンの部分でした。

割った餡パンが

急に元にもどり

そこから目が出てきて

口もできて

話しだしました。

「ボクは嘘つき餡パン。パンの部分は嘘つきで

腐ってる餡パン。君は嘘がなにより嫌いなんだね?」


マサシは ビックリしながらも

「嘘つきは嫌いだ。嘘つきは悪いこと。嘘つきは悪い人がすることだよっ!」


餡パンは

「嘘つきは全部悪いことかな?良い嘘は無いのかな?」


「ないだろっ!」

「じゃボクと勝負しないかい?

全ての嘘が悪いことかを?全て悪かったら君の勝ち。

そう君が思ったら君の勝ち。君の願いを叶えてあげるよ。しかし、嘘を君がついたら君の負け。どうだい?


「ボクが嘘をつく?ありえない。勝負しよう。」


餡パンは臭い匂いを散らしながら

「では君を特別な世界に!そして君に特別なチカラを。」

それを言った餡パンは消えました。


マサシはあたりを見回しました。

なんら変わらない世界。

眠かったから

寝ぼけたのかなと、その日は眠り朝がきました。

学校に行くと

ふざけて嘘をつく人はいません。

新しい世界では

みんな嘘をつかない正直者ばかり。

さらに驚いたのは

みんなの心が読めるチカラができたこと。

心をのぞくと

みんなが つまらなそうです。


マサシは嘘がないから

つまらないだろうけど

これがマサシが望んだ世界。

マサシは大満足です。


時は流れ

マサシは人間の体を研究する人になりました。

人間の体を研究する授業は

病院にいる患者さんもみます。


子供病院でのこと。

小さな子 りんちゃんをマサシは研究していくうちに可愛くなりました。

とても優しく、とにかく明るい子。


心をのぞくとマサシを友達、お兄ちゃんと思っています。

それを見た りんちゃんのパパやママからも

マサシは感謝されていました。

マサシは とても幸せ。

なぜなら感謝され、友達も初めて出来たから。


しかし、ある朝病院に行くと

りんちゃんの様子が

おかしい。

調べると すでにりんちゃんは

あと少しの命だと分かりました。

マサシは泣きそうです。

りんちゃんの心をのぞくと

「誰にも心配かけたくない。

誰にも知られたくない

自分がいなくなっても みんな楽しく生きて欲しい

お兄ちゃんに幸せになって欲しい

パパやママは悲しまないで欲しい」

そう りんちゃんの心が言っています。

マサシは 途方にくれました。

りんちゃんがいなくなる、、、。

でもこの子は、、、。

実は りんちゃんの病気は

お医者さんの見過ごしから悪化したのでした。


りんちゃんのパパやママが病院にかけつけました。

パパやママは

マサシに問います。

「りんは、りんは、どうなんですか?」

りんちゃんの心を知ったマサシは

生まれて初めて嘘をつきました。

「心配いらないから、大丈夫ですよ。」

涙をこらえて答えました。

そこでマサシは気付きました。

素直が一番でもないことに。

嘘でも良い嘘があることに。


その瞬間

10年ぶりに見る

臭い餡パンが現れました。

「ながかった。君は嘘をついた。嘘は使い方で

良くも悪くもなるんだ。君はボクを最初臭いパンと感じたのは悪い嘘の意味。でもアンコは良い匂いがしたのは良い嘘の匂い。嘘は使い方次第で誰かを幸せにしたり、笑顔にしたり、救ったりも出来るんだよ。

約束だ。君の心をもらうよ。」

そう餡パンは言うと

マサシは、あの昔の朝に戻っていました。

嘘は悪いことばかりじゃない。

相手によっては、嘘は幸せになることが分かりました。


その後、悪い嘘はつかず

良い嘘をつき、マサシは友達から

好かれる人になりました。

心残りは

りんちゃん。

それから時がたち

りんちゃんを救うマサシがいました。

嘘はつかないで、りんちゃんを救いました。

素直さをもちながらも、

良い嘘はつくマサシは

その後も人々から好かれる人になりました。


みんなは嘘は悪いことと思っているかい?

でも良い嘘もあるんだよ。

素直に言って友達が傷つくなら

嘘は幸せ呼ぶ嘘になる。

嘘、知らなくて幸せなことなんて

いっぱいあるんだ。

でも忘れないで。人を傷つく嘘ならダメなことを。

悪いとされることも使い方次第で変わることを。


おしまい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る