第29話 石鹸を作ろう
次の日、絞ったトレント油で石鹸を作ることになった。
灰を前の晩に水につけておいたよ。
「この上澄を油に混ぜて、この型に入れるのだ」
ふうん、なんか夏休みの研究セットみたいだけど、型が平たくてデカい。
「師匠? 大きくないですか?」
使っている石鹸は、もっと小さい。
「固めてから切るんだよ。まぁ、小さい型をいっぱい作って貰っても良いのだけど……乾燥するのは、そちらの方が早いけど、面倒なんだ」
どうやら師匠は面倒なのは嫌いみたいだ。
石鹸を固めるのは時間が掛かるから、今日もオイル絞りかな?
「水車は私が回すから、ミクはしたい事をしたら良い」
えっ、そんな下働きをするのは弟子の仕事では?
なんて思ったけど、どうやらピザを焼いて欲しいと他の
「ああ、ミク! ヘプトスがこれを持って来たわよ!」
私が
「ああ、これがあるならお昼は肉まんにしよう!」
サリーがお焼きとは違うの? って顔をしている。ちょっと違うよ!
「夕方にピザを焼くから、ヘプトスとガレウスに言っておかなきゃ」
それと、ピザ生地をいっぱい練っておこう。
「サリーもレモネードを作る?」
このところ、一緒の作業が少ない。
「ええ、今日は何も予定がないから、レモネードを作って売るわ!」
それに、チーズを買いに行ったり、手伝ってくれる。
「来週あたり、ハチミツを集めて、
それ、楽しみだね! えっ、お酒は飲まないけど、少し分けて貰ってお酢を作りたいんだ。
今残っているワインビネガーは少しだけだから、お酒にハチミツと酢を混ぜて、お酢を作りたい。
料理スキルができると教えてくれたから、やってみる。気温が高い方がお酢は作りやすいみたいだからね。
肉まんは、パン生地で肉とキャベツと玉ねぎの細切れのタネを包んでいく。
「何か手伝おうか?」
サリーに手伝って貰って一緒に包む。
「お焼きに似ているけど?」
まぁ、材料は同じだと思う。
「蒸すから、もっと膨らむのよ」
20個ほど作った。
他のはヘプトスとガリウスとその師匠達に持って行こう。
と思ったけど、美味しすぎて3個ずつ食べちゃった。
「これ、美味しいわ! お焼きとも違うわね」
人間の町でも食べた事がないと、アリエル師匠が絶賛してくれた。
「これは人気が出そうだな」
うっ、ピザだけでも用意が大変なんだよ。
でも、肉まんの方が売りやすいかな? 蒸篭を積み上げても良い。
「冬になれば、より美味しく感じるかも?」
コンビニでも冬場に売っていたよね。買った事ないけどさ。あれこれ食事制限が厳しかったから。
ヘプトスとガリウスの所に4個ずつ持って行く。
「ヘプトス! 蒸篭で肉まんを作ったの。それと、今日はピザを焼くわ」
二人は肉まんを一瞬で食べちゃった。
「これ、美味しいな!」
好評で嬉しいけど、今日はピザだよ。
「今日は新作のピザにするの」
とうもろこしのピザ! 採れたてのコーン、甘くて美味しいんだ!
ガリウスも肉まんを喜んで食べたけど、師匠は甘いものを一瞬期待したみたい。
「もう少しでオーブンができるぞ!」
パウンドケーキの型は、もう作ってあるみたい。石窯で試してみようかな?
この日の午後は、脂身を買って来て、フスマや野菜クズや骨粉と混ぜて配合飼料を作る。
脂身を一旦溶かしてからの方が混ぜやすいかも?
師匠じゃないけど、石鹸の型を貸して貰って平たく伸ばして、冷やして固めてから、切っていく。
売る石鹸と違って、こちらは大きさは適当で良い。
「試してみよう!」
おやつにやったら、ギャーギャー喜んで食べていたので、冬はこれで越せるかも?
干し草も作りたいな。こちらは、ヴェルディさんに教えて貰いたい。
「ひまわりの搾かすも、フスマで作った飼料も食べましたけど、干し草も作っておきたいのです」
オリビィエ師匠がヴェルディに頼んでやると笑う。
夕方までにとうもろこしを芯から切り取ったり、玉ねぎを薄くスライスしたり、燻製肉も切っておく。
ついでにきゅうりの一本漬けも売ろう!
「まだ旗を立ててないのに……」
まぁ、用意はできているから、焼くけどさ。
とうもろこしを入れると甘くて美味しい!
でも、ピーマンとかパプリカとかも欲しいな。
「このきゅうりも美味しいな!」
ガリウスがピザが焼けるまで、ポリポリ食べている。
「レモネードも美味しいわよ」
しまった! レモネードを飲みながら待ってもらえば良かったな。
「それは、ピザと一緒に貰うよ」
なんとかピザを焼き終えた時は、へとへとだった。
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