第122話 尋問

 タニス、メイヤ、ネイリス が次々に部屋に飛び込んできたが、床に転がり悶絶している賊に蹴躓き、3人は転けていた。


「キャッ!」「あたたた」「何よ、もう!」


 3人は悲鳴や悪態をつくが、しかしアイリーンだけはそっと中を覗き、部屋の様子に手を口に当てる。


 醜態をさらす3人に構っている暇はなく、俺は急いで賊を奴隷にしていった。


「動くなよ!お前らを奴隷にした!」


 そう言ってからアイリーンに手招きをしつつ、死に掛けている賊に治療魔法を施す。


 そんな中、1人の賊が呻きだした。


「馬鹿な奴だな。まあこれで自分が奴隷になったと 理解したな 他に 俺たちを襲った仲間がいるのか正直に言わないと、死んだ方がましだと思うほどの苦痛が訪れるぞ!」


 再び 別の奴が叫び出した。


「ざけんじゃねえ!誰が話す・・・ギャー!わ、悪かった!言うことを聞くから、頼むからやめてくれ!」


 5人は10代後半から20代前半のいかにも盗賊やごろつきと言った感じだ。


「お、俺達5人だけで来たんだ、う、嘘じゃねえ!他のやつは来ねぇよ!」


「お前達には仲間がいるんだな。よし、どうして俺達を襲ったんだ?」


「ボ、ボスから女を攫ってこいって言われたんだ!お楽しみの後は、疲れて眠っているだろうから、その頃を狙ってきたんだ!」


「何故俺達なんだ?」


「美人揃いで高く売れるし、具合も良さそうだからだ!」


「具合?」


 その男はバテが悪そうにメイヤ達を一瞬見た。


「その、xxxのxyz具合の事だ!」


 バキッ!


「答えた!正直に答えたんだ!約束と違う!頼む!助けてくれ!」


 俺はやれやれとため息をつく。


「まあ、美人揃いなのはそうだが、いつから狙っていた?」


「国境近くの町のすぐ近くで見掛けてつけてきたんだ!」


 それで時折視線を感じたのか。


「そうか。お前達の仲間はどこにいる?」


「下町近くの家をアジトにしてるんだ!」


「お前達は皆犯罪者か?」


「俺達は赤い道化師って名の盗賊団だ!赤い道化師はこの辺りじゃ名の知れた盗賊団なんだ!」


「分かった。お前達のアジトに案内しろ!」


「わ、分かった!分かったから殺さないでくれ!」


 ドタドタドタドタ・・・


「こ、これは一体何事で!?」


 宿の主が騒ぎを聞きつけてやってきた。


「人攫いに襲われたんだ。赤い道化師だそうだ」


「ま、まさか?町にいただなんて!」


「何人いる?」


「町には15人いやして、全員今頃あっし等の帰りをアジトで持っていやす」


「町の外にもいるのか?」


「総勢40人ほどの団ですから」


「町の外のは騎士団に任せるとして、町中のを排除するか。よし、1人、そうだなお前、今から町にあるアジトに案内しろ」


「余計な世話かもだが、あんた死ぬぜ!?」


「俺は強いから大丈夫だ。よし、ヨルミクル、イザベル、着替えて賊を倒しに行くぞ!アルテイシア、後を頼む!」


「まあ、盗賊風情に貴方が遅れを取る事はなさそうだけど、気を付けるのよ!」


「よし!隣の部屋で着替えて着てくれ!」


 宿の方はアルテイシアに任せ、俺は案内の奴とヨルミクル、イザベルを伴って盗賊の駆除に向かったのだった。

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