第121話 襲撃される

 国境を超えて最初の夜を迎えたが、日付が変わる頃、隣のベットで寝ていたヨルミクルがガバっと起きた。

 それにより俺も体を起こすが、違和感を感じた。


 ヨルミクルを見ると、彼女は頷き俺の前に裸体を晒す。

 部屋の中は暗いが、ギフト光りにより夜目が効くので、夕暮れ程度は見える。


 俺の目線に気が付き慌てて胸を隠し、布団の上にある浴衣のような寝間着を慌てて着ていく。


 後で聞いたが、彼女は自室では布団に入ると真っ裸になり眠るのだとか。


 とはいえ、このような国を出て宿の部屋でそうしているのはどうかとは思うが、俺も武器を手に取る。


 どうやら賊のようだが、もちろん目的はわからない。


 アイリーンの姿になってからは基本的にアイリーンと一緒の部屋に泊まる事が無くなった。


 王族が未婚の男と同衾したことにされかねないからと、距離を置く。


 イザベルとアルテイシアが一緒の部屋で、隣はタニス、アイリーン、メイヤ、ネイリスが同じ部屋だ。


 しかし、俺の部屋に誰かが来て、ドアを開けようと手を掛けたが、カンヌキがあり開かない。


 しかし、障子と枠の間に剣が差し込まれ、カンヌキが持ち上がる。

 皆を起こそうとしたが、こちらが気が付いていると知らせる事になるので、俺とヨルミクルはドアの前と横に立ち侵入者に備える。


 すると、カンヌキが外れ、ドアが勢いよく開く。

 すると次々と賊が侵入してきた。

 かんぬきが床に落ちる音でアルテイシアとイザベルが起き、さっとベッドより降り、徒手空拳で身構える。


 ヨルミクルは先頭の奴に対してそのほっそりとした脚を出す。

 先頭の奴は見事に引っ掛かりベッドの縁にしこたま打ち付ける。

 ごつっ!と鈍い音と共に崩れ落ち、2人目は俺の右ストレートを食らい後ろに吹き飛び、後に続く奴の顔と後頭部がゴチンコし鈍い音を奏でる。


「聞いてねぇぞ!起きてやがるじゃないか!どうなってんだ!」


「どうなってんだじゃない。何をしやがる!乙女がいる部屋と知っての狼藉か?」


「けっ!笑わせるな!てめぇの手垢のついた女のどこが乙女だ!さっきまでよろしくやってたのによく言いやがる!でも構わしねぇ!初物じゃなけりゃ俺達もやれっからな!だこらテメェは黙って死んどけや!」


 俺は彼女達が侮辱されたと判断し、怒りからそいつの胸に剣を突き立てた。


 えっ?と言った感じに驚きの顔をして胸に生えた剣を見つめ、崩れ落ちた。


 そこから残りの賊はパニックになり我武者羅に突っ込んで来るので、殆ど瞬殺に近い状態できぜつさせていった。


 賊は盗賊風情の格好をしており、1人が死に掛け、4人を気絶させた。


 そして、騒ぎから慌ててメイヤ達が部屋に入ってきた。

 

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