第113話 知っていた
執務室にあるソファーに腰を掛け、3人が揃うのを待った。
アルテイシアはダイランド家の話ということで席を外そうとしたが、父の呪いに対する話をする時にいてもらった方が良いとして、机にある椅子を使ってもらう。
俺の横に父、向いにタニス、メイヤ、ハーニャの順で座った。
メイヤを真ん中にし、タニスが俺の向かい、ハーニャが父の向かいに座る形だ。
気の所為か父の雰囲気がいつもと違う。
ふと横を見ると何か覚悟をした顔だ。
「皆も聞いていると思うけど、見ての通り使用人だけじゃなく父が来た。呪いをかけられていて、助かるのには魔王を殺さないといけない。ただ、アルテイシアが処置してくれたので、この屋敷の敷地内なら呪いの影響がなくなる。だたし3年しか持たない。何故こうなったかは誰も知らないから、説明してもらう」
「皆息災で何よりだ。暫く厄介になる。3年くらいな。キルカッツが魔王の尖兵になりよった。此奴の母親が残した儂への予知文にあったのに防ぐことが出来なんだ。それもありお前達の行動は把握のみにし、敢えて何もしなかった」
「分かっておいでだったんですか?」
「細かくではない。此奴が女装したり、旧水路で眠った事はわかる。あくまで追跡したからだ。因みにあの地下室も把握しておった」
「わざと逃したとおっしゃるので?」
「もしもお前達が屋敷に残っておれば、その晩に3人共キルカッツに犯され、悲観して自害することになるからな」
「・・・」
3人が俺を見る。
「メイヤだけがと思ったんだが、3人共なのか?」
「うむ。1人が逃げ、2人がそれを追い掛けると。監視だけにして決して捕らえてはならない。儂が捕らえれば翌朝には自殺すると書かれていた」
「キルカッツに何が起こるのか書かれてはいないので?」
「あれには儂とお前についての警告だけで、キルカッツについては我らに絡むところだけだった。お前が剣を持ち出すのも分かっていた。予知が違えば捕らえるまでと、お前のプランに乗っただけだ。だからキルカッツは儂がお前を追放したのだと本気で思ったのだ」
成る程、父は全て把握していたのだな。
「因みに母の予知が無ければどうなっていました?」
「お前を追放した後、3人が消え失せたと理解した所であの隠れ家を急襲して終わりだ。ただ、キルカッツについては、完全に行方をくらませた」
「因みにどこまで追えていますか?」
「うむ。この国より国外追放された所から足取りが掴めなくなった。その後情報網に引っ掛からぬな」
「そうですか。因みに来なかった使用人達は?」
「執事長とメイド長、騎士長は裏切った。それ以外で居らぬのは本人の希望により解雇したからだ。国を出ることを拒んだだけだ」
「死んだ人とかはいなかったんですか?」
「ああ。逃げ遅れそうな者は外に出ていたし、キルカッツが裏切り者以外、外に出していたのだ。賊が侵入したから僕が退治してやんよ!とな」
「良かった。皆無事なら」
「大事なものは持ち出し済みだったからな。書籍もな」
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まあここまで来るのに時間が掛かったのは、使用人の体力に合わせた旅になったのと、キルカッツが追放される町と違うルートを辿ったかららしい。
また、キルカッツにより呪いを掛けられるのは、1番被害が少ない方法とあったから、甘んじて食らったのだとか。
回避できたが、それをすると使用人の半数が殺されたはずらしい。
そうして1つ目の話が終わった。
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