第114話 アイリーン登場
1つ目の話が終わったが、はて?まだ何かあっただろうか?
連れてきた使用人についての話し合いならば、アルテイシアはいなくてもよいはずだが、父の顔付きはこの上もなく厳しくなった。
これ程の覚悟を持った顔はいつ以来か?10歳の頃、隣国が国境を超えてきた時に出征したが、留守をおれに預ける時に見た以来無いな。
しかし、その行動に俺は口を開けポカーンとシてしまった。
いきなりハーニャの前に片膝を付き、まるで王族を相手にするかのように、その手を取り軽くキスをする。
格上や意中の女性にするような、淑女への挨拶だ。
しかも、ハーニャは嫌がる素振りを見せない。
「心配をお掛け致しました。それより身分を回復していただこうと愚行いたします」
「お兄様、心配しましたのよ!亡くなったと聞き、私がどれぼど心を痛めたか分かっていますか?」
「これは手厳しい。こうでもせねばキルカッツからは逃げられなかったのだ・・・その、許せ」
「仕方がないわね!じゃあ父親として私がセル様と結婚する許可をくださいな!」
「もちろんです。元々アイリーン様は、セルカッツと婚約しているではありませんか」
俺はえっ?と情けない声を上げる。
確かこの国の第3王女で、父とは従兄妹らしい。
記憶にないが、3歳から1年は同じ屋敷にいたはずだ。
確か金髪だったような?
俺はつい唸った。
「ちょっと待て!ハーニャがアイリーン樣だというのか?それにアイリーン様は金髪でルランド公国に留学中と聞いているが?」
「ほう!ハーニャが王族だと気が付いていると思ったが、知らなかったのか?」
父が悪い笑みを浮かべた顔をしている。
ハーニャもニタニタしている。
俺は物心が付く前というか、まだセルカッツの体を支配していない時に何度もあっているし、一緒に遊んだ。
風呂もメイドだった母と一緒に何度も入っていた・・・はずだ。
ふと記憶を探る。
ほくろや蒙古斑の位置。
真面目な訓練とはいえ、ハーニャの裸は定期的に見ているが、言われてみれば幼い頃のアイリーン様が持っている自然体的特徴と同じだ。
蒙古斑の事を言ったら少し気まずそうにしていたが、アイリーンだとバレたか?と思ったのか・・・
不味い・・・非常にまずい・・・彼女を置いて、メイヤと逃げようとしていた。
「セル樣、逃げ出す時の事なら気になさらないで!」
頭の中がパニックになっており、一つ質問したが、どうでも良い内容だ。
「奴隷になっていたのは何故?」
「知らぬか?貞操帯代わりだ。他人の奴隷を犯そうとしてもイチモツが消し飛ぶからな。だから母親から初夜の日に奴隷から開放するよう言われていたのだ」
色々あるが、ハーニャのメイド力が低くかったから、なぜか?と思っていたが、所作を学ぶ中、最低限のメイド教育を受けただけで、実際は、父のお付きのメイドとしてはいたが、執務室で帝王学を学んでいたのだ。
ハーニャも父の事を従兄妹として、血縁者として頼っていたのだとか。
また、奴隷に偽装したのは王権争いから身を守るのに逃げてきたようだった。
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