第111話 起こす前に

 翌朝、顔に何やら柔らかいものがあり、堪能していた。

 ぐりぐりして良いなぁと感じていたら、頭をホールドされ、押し付けられた。


 苦しかった。

 少し幸せな苦しみだが息ができず、ゴホゴホと噎せて目覚めると、すると背中を擦られた。


「大丈夫?」


「ああ。良く分からないけど、急に苦しくなり目覚めたら噎せたけどもう大丈夫だよ。それより君の体は?」


「ご覧になって確かめてくださいませ!」


 服を脱ごうとしたので、止めに入る。


「寝ぼけているのかい?挑発するならもう添い寝は無しだよ?」


「ご、ごめんなさい。寝ぼけてました!」


 何故そんなに俺との関係を急ぐのか良く分からない。


 アルテイシアの見た目ならもう数年したら、各国の王子にの妻にへと、引く手あまただろうに。


 高々侯爵の息子、その侯爵も息子に家を乗っ取られ、息子のところに逃げ延びてきた状態なのに。


 俺なんか選んでもトラブルしかなかろうに。


 聞いても答えてくれないし、体を求める振りをしても、そのまま受け入れようとするからな。

 既成事実をもって妻の座に収まろうとする。


 やはりゲームにそうさせる内容があったんだろうけど、それっぽいことを話し、嘘を言いはしないまでも全てを語らない。


 実は18禁パートをやりこんでいて、体の相性が良すぎて求めて止まないとか?


 ゲーム内での体の関係は本物とそっくりな感覚で快楽を感じ取れる。


 その、俺も1度だけ興味本位でやったけど、中毒性が高くリアルで女に興味をもたなくなるほどだった。

 いや、その沼からは、簡単には抜け出せないらしい。


 それだけじゃなく、ゲーム内でそうすると、ゲームから離脱したあとの体から体液が出ていて大変だったからもう止めたんだ。


 エロゲーを求めていたんじゃなかったから。


 ネットの噂ではどはまりして、ログアウトせずにダイブしっぱなしで、ゲームで死亡した奴のニュースが時折あったのも、自制した一因だ。


 いかんいかん、確か魔力切れを起こしたはずだ。


「その様子だと魔力切れはもう大丈夫そうだな。あの人をそろそろ出しても良いのじゃないか?」


「あっ!いけない!お父様を閉じ込めたままよね!身支度をして挨拶をしなきゃ!息子さんをくださいって言わなきゃ!」


 またもやトリップしていたけど、取り敢えず着替え、地下室に向かう。


 魔方陣の状態にアルテイシアは満足していた。


「セル様、お父様を出しても問題ないわ。ただ、この屋敷の敷地から出ると元に戻るから要注意よ!」


「肝に銘じておくよ!というか、言い聞かせておくよ」


 そうしてアルテイシアと共に父の眠る?棺の蓋へ手を掛けた。

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