第110話 封印
夜になりアルテイシアが行っていた魔法陣の準備ができたと知らされた。
俺はアルテイシアへの魔力を供給と、その後部屋に連れ帰り、魔力涸渇の症状を緩和すべく立ち会った。
さして彼女の肌に直接触れている必要から、首に手を当てている。
俺の魔力の方が多い。
魔法陣はギフトに内包された力だそうで、どういった魔法を使うかを指示すれば体が勝手に動き、描き終わるか寄せられたり攻撃されたりと、衝撃があると途中でストップするが、それ以外は終わるまで意識がない。
だから気が付いたら数時間経過し、終わると急に尿意に襲われるのだとか。
尿は貯まる一方で、不思議と失禁はないそうだ。
だから魔法陣を書くときは基本的に女子の誰かが付き添い、終わると先ずトイレに担いでいき、座らせる。
スカートを捲り下着を一気に下げるのはその女子の役目だ。
だから先ずは足踏みするアルテイシアをトイレに連れて行った。
ちゃんと間に合ったよとしなくても良い報告をしてきた。
いや、失禁娘と思われたくないから必要か。
そうそう、夜になると、棺から出せと言わんばかりに中からドンドンと音が聞こえたが、スルーし、重しを置いて開かなくしたもある。
今は魔法陣の真ん中に鎮座しており、セバスチャンが魔術師に呪いをかけてもらうから暫く大人しくしてほしいと話し掛けると、初めから言わぬか!と一言有り大人しくなった。
確かにあの人の声だ。
アルテイシアが術を唱え始めた。
「聖なる光の庇護に身を委ね、暗黒の闇より解き放たれん者よ、我が声に聞き従え!闇に囚われた運命を聖なる力で阻み、3年の間、彼の者に掛けられし呪いの進行を遅延させ、闇の影から救い出さん。聖なる光よ、その力を示せ!聖なる闇への対抗魔術!聖闇の封印!」
アルテイシアが術を発動すると棺の中から罵声と怒声、やがて悲鳴が聞こえてきた。
しかし、皆さんスルーだ。
魔方陣が輝きだし、アルテイシアの魔力が一気に引っ張られ、俺の魔力もかなり吸われた。
魔方陣が光ったり止んだりをし、その間隔が短くなり、やがて棺の中へ消えていった。
その段階が進むにつれ、父の言葉も汚くなっていた。
「成功です。明日朝日が昇れば出してもよいわ」
アルテイシアはいきも絶え絶えでその場に崩れ落ち、俺は抱き上げると寝室に連れていき、彼女の要望通りベッドインした。
なにか忘れている気がするが、今はアルテイシアをギュット抱き締めてその柔らかさを堪能じゃなく、魔力を注ぐことに集中した。
本当は裸で抱き合うのが1番らしいが、彼女はそれを知らないし、指摘も止めた。
ただ、俺もかなり消耗し、すぐに眠りに落ちた。
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