第109話 眷属
食堂に似つかわしくない『モノ』があった。
セバスチャンが言い澱んでおり、気になり聞いてみる。
「なあ、あれはなんだ?まるで棺じゃないか?」
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目を逸らすので、泣かば押し退けるようにこの箱の前に行き、手を掛ける。
「坊っちゃま…」
勝手にセバスチャンと言っている老執事がに俺に伸ばし、何か言い掛け、伸ばし掛けた手を引っ込めた。
「こ、これは!?」
「呪いです。その、日中のほとんどを眠り、日が落ちると目が覚めます。また、日の光に対して極端に弱くなり、まるでヴァンパイアの如く棺に入れざるを得なくなりました」
ゲームであった呪いだ。
これは魔王に忠誠を誓った者が同志を作るのに相手を呪い、魔王に忠誠を誓わなければ低級のヴァンパイアもどきになるものだ。
恐らく中途半端にレジスとしたのだろう。
いや、普通はレジスト出来ないが、流石は侯爵といったところか、進行を遅くするレジストを行えたようだ。
「屋敷にあった書物にある症状です。誰かアルテイシアを呼んできて欲しい」
すぐにやって来たが、アルテイシアは父、を見て首を横に降る見て首を横に振る。
「完治は無理ね。魔王を滅ぼさないと完治できない呪いね。これを掛けた者は既に魔王に下り眷属となった者よ。今出来るのは、行動制限と引き換えに進行を極端に遅らせることよ」
「行動制限とは?、どれくらい持つんだ?」
「まあ3年ってところかしら?行動制限はこの屋敷の建物内で、更に異性と一切の物理的な接触が不可ね。神聖魔法で今の私てはその制約が掛かるの」
「そうか。出来るか?」
「誰に言っているのかしら?」
「愚問だったね」
「ひとつお願いがあるの」
「言ってみて!」
「処置が終わったら私をベッドにお姫様抱っこで連れていき、そのまま初夜を迎えたいわ」
俺は頭にげんこつをくれてやった。
「はっ!その、添い寝でよいから!その、魔力切れで気絶するか、かなり苦しくなるはずなの。手を握って、抱き締めて寝てくれたら回復が早いし、吐き気も収まるの」
「本当だな?」
「今のは本当よ。やるのなら今から魔方陣を書いたり準備がいるわ。確かここは地下室があったわよね?そこが理想ね」
「確かにあそこなら日の光を遮りやすいな。分かった、準備を頼むよ」
今出来ることは先延ばししか出来ないが、父が生きている。
半分人間ではなくなり、魔王を殺す必要がある。
しかし今の魔王には手が出せない。
それは、破壊不能オブジェとなっているからだ。
封印が解けない限り無理なんだよ。
また、使用人の半分がキルカッツに従ったらしい。
どうも暴力で押さえ付け、家族を人質に取ったらしい。
何はともあれ、俺に友好的な使用人達のみが来ていて、旅の疲れを癒すよう休ませることにした。
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