第106話 子供は何者?

 アルテイシアがやって来て、俺をその胸に抱き寄せた。

 薄着のため感触がモロに伝わる。

 ワンピース1枚のみだろうか。


「聞いたわ。こんな事くらいしか出来ないけど、もしそれで立ち直れるならこのまましても良いのよ。その代わり、それがプロポーズとするけど・・・」


 危ない危ない。

 15歳で14歳と結婚してしまうところだった。



「心配掛けたね。ただ、ゲームではそんなことが起こらなかったんだ。だから、アルテイシアが知っていたらと思ってさ」


「じゃあたしも1つお願いするわ」


 そう言っていきなり裸になった。


「ちょっと待って、そういうのはいらない。君を抱くならちゃんと雰囲気を作って・・・」


「勘違いしないで。タニスさんのように体を見て欲しかったの」


「分かった。確認しながら話を聞くよ」


 少し反応した体を数秒間の瞑想で沈める。


 俺の雰囲気が変わった事をアルテイシアも感じ取ったのか、無表情になったからか、男の象徴が平時のままなのを見たからか羞恥心は消えたようだ。


 アルテイシアの体は純粋な女と見れば将来有望そうな、男が好きそうな体になる感じだ。


 イザベラがアスリートだとすれば、アルテイシアは少し鍛えて引き締まったモデルだ。


 総評として、身を守る為の格闘術をおしえるので、エクササイズ感覚で良いからもう少し体幹を強くするべく訓練をしたいと。


 幸いなのは、だらしない体格ではなく、モデル体型だったことだ。

 これなら少し鍛えれば体力もなんとかなる。


 タニスと同じ路線になると伝え、ペアを組んで見るのも手だろうと。


 ジョブが被るのだ。

 ただ、聖女系統なので、回復やバッファーがメインだ。


 何気にアルテイシアが服を着るのを眺めていた。


「ちょっと、目をそらすとか少しは女の子に配慮しないのかしら?」


「悪い。つい、綺麗な体だなって見惚れてたよ」


「もう。仕方ないわね。抱かないけど裸は見るのね・・・」


「少し君の体に興味があってね。中身は日本人だけど、こうやって見てもどう見てもこの世界の人の体だなって」


「知らないの?私達は子孫を残せないのよ。例えば私と貴方との間に子が出来たとして、その子は何者なのかについて」


「セルは何人もの妻や妾を持つし、既にウルナさんが妾よね。その間に生まれた子は日本人のDNAは全く持たないのよ。私との間の子もね」


「考えたことがなかったな。つまり、俺が今から何人かを妊娠させても、この体の本来の持ち主のDNAしか残らないということだよな?」


「そうよ。だから貴方が何人もの女を孕ませても、この世界での貴方の父親たるダイランド侯爵の実孫が大量に生まれるだけよ」


 なるほどと感心した。

 雑談の後、俺とアルテイシアのゲームでの話の違いを整理しあった。

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