第102話 アルテイシアがしてきた乙女ゲームは?

 俺は常に自身に満ちていなければならない。

 主たる者、部下が失敗をしても、声を荒げてはならない。

 不測の事態が起ころうとも顔に出してはならない。

 主が不安そうにすれば、部下がそれを見て不安に思い、ミスを誘発してしまう。

 そうなれば本来できるはずのことがことごとく失敗する。

 なので常に冷静でいろと父から言われていた。


 アルテイシアの態度がもう俺の妻かのような振る舞いに変わった。

 どうも朝チュンが既成事実だと勘違いしているようで、俺に女にされたからもう妻だ!といった発想だろう。


 なので、2人きりになり話をした。


「だって、前世を通じて私の初めてを捧げた相手ですもの。逃しませんわ!」


「1人で盛り上がっている所悪いけど、お前まだ生娘のままだからな。俺いったよな?中学生なんて抱かないぞって!」


「うそ?私寝ている間に貴方に蹂躙じゃなく、寵愛を賜ったのだと思ったの・・・・ばか!」


 何故か平手打ちを貰う俺・・・


 その様子を見ていたハーニャに事情を聞かれ、顛末を話した。


「あの人思い込みが激しいわね。いいわ。私が話しておくわ!」


 その日、それ以降は以前の態度に変わっていた。

 いや、しおらしくなったのかな?


 その日の夜、執務室に呼び出して話を聞いた。


「ハーニャさんから話を聞きました。彼女達とも添い寝しかしないと聞いています。でも、ウルナさんとは関係を持ったと。ロリコンじゃないからと・・・確かにそうね。ウルナさんの年齢まで愛想を尽かされないようにしないとね。私焦っていたの」


 そんな話をしていた。

 あくまで本題前の雑談だ。


「アルテイシアの気持ちは嬉しいよ。俺も同郷のもので話も弾むし好きだよ。でも日本だと分かるよね?」


「うん。郷に入れば郷に従えって言うじゃない、だからもう結婚しないとかなって焦ったの。だってゲームだと私の王子様だもの」


「俺が聞きたかったのはそこなんだ。詳しく話して欲しい」


 結果今後の展開に余り役に立ちそうもないことが分かった。

 戦闘は、乙女ゲームとはいえ、主人公の自分を鍛え、攻略対象とともに敵を討つバトルモードがあり、俺が魔王と対峙し、仲間と共に討ち滅ぼす。

 アルテイシアはサポートに徹していたのだそうだ。


 自分が倒すのではなく、攻略対象を強くして倒してもらう。


 しかも、愛情パラメータなる物があり、一つになった後は倍になる補正があり、抱かれないとまず魔王を倒せないとかで、焦って抱かれようと画策したのだと。


 女神よ!お前は何をさせたいんだ?

 アルテイシアは俺のこの世界でのフルネームを知っていた。


 そうそう、キルカッツも攻略対象の1人だったらしいが、毎回速攻でベッドに拉致られ、犯され始めるので、即時にログアウトしてリセットし、5回目で攻略を諦めた。


 どう見ても18禁のゲームと化していて、男を知らぬ乙女にはきつかったらしい。


 女神の意図がわからない。

 聞きたくない話だが、ゲームの中では俺にさんざん抱かれていたそうだ。

 だから実際の経験がなくとも、現代人として実際の性体験に興味はあったと。 


 でも、この世界の貞操観念は違うと諭すしかなかった。

 今のところ俺たちが転生者だと言っても誰も理解できないだろうから、話してはいない。

 貞操観念の話などは本来同性同士で行われる話だが、とりあえず婚約者としたうえで話したが、彼女はあまりこの世界の貞操観念などをシなくて驚いた。


 ただ、信託の儀にてギフトを授かるまでは男を知ってはならぬと、口を酸っぱくして言われていたそうだ。


 ただ、それだけだった。


 俺は今後のことについてアルテイシアの知っているゲーム知識を得て修正しようとしたんだ。

 しかし、お花畑系か、女性向けの18禁ゲームと化していた事実にショックを受けた。

 まだ俺とアルテイシア以外のデーターがないから決めつけることはできないが、誰か魔王を倒すだろう!!から、俺しかいないのかも?と修正する必要に迫られるのかなと、肩を落とした瞬間だった。

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