第50話 ネイリスの決勝戦前に

 話し合いが終わり、黒き薔薇の面々は食事を終えていたのもあり、直ぐに食堂を後にした。

 俺達はこれから食事だ。


 杖使い、恐らく魔法使いのアルテイシア。

 ナイフ使いの子はスメイル。

 格闘家のミルギナン。


 先程賭けの対象になった女がメイス使で、名前はコルニア。

 恐らく僧侶や神官系だろう。


 それともう1人でかいのがいるが、斧使いだな。

 名はダイダルス。


 これから斧、メイス、ナイフ、剣の順で決勝だ。

 俺は先程の事を話し合いながら食事をする。


「正直参ったよ。何をしたら急にああなるんだ?女心と秋の空はというが、彼女のあの誤解はどこから来たんだろうか?」


「あのう、セル様?本気で言っているっすか?」


「ああ。昨日は向こうからグイグイと近付き、同郷の者なのかを確かめて大会の後食事を誘われた程だぞ」


 ネイリスはハーニャ達の方を見るも、彼女はやれやれと言った感じで首を横に振る。


「さっきメイヤさんの事を話していたっすよね。その時に筆下ろし様にと買い与えられたと言っていたのを聞いて、それでああなったと思うっすよ」


「まさか?思うところはあるが、貴族なら普通の事だぞ!そりゃあ実行するつもりはないが、そういうものなんだがな」


「あの人お貴族様じゃないっすよ。ボクもそんな事知らなかったっす。だから怒ったんだと思うっすよ」


「とんだ世間知らずな上に超が付くお人好しか・・・」


「あの、あの人達を奴隷にしたらその日のうちに手籠めにするんすか?」


「あの中の誰かを好きになったのか?ってナイフ使いの子か。はあ。俺をなんだと思っているんだよ」


「お貴族様!」


「そうか。貴族ってのはそんな事を、平気な顔をしながらやるよな。まだ付き合いが浅いからネイリスは分からないだろうが、俺はそんな事をしない。する奴ならメイヤ達は既に俺の慰み物だぞ。ちょっと怖がらせるだけさ。そうだな、あのメイス使いの子とアルテイシアさんにはお仕置き代わりに添い寝をさせるかな。犯されるとびくびくしながら何もしてこないってのも精神を消耗するもんさ」


「添い寝ってご褒美にしか思えないんっすけど」


「あのメイス使いの子にはそうだろうな。こんな形でも貴族の子息の妾に収まれるかもだからな」


 タミヤに促され食事をする。

 時折歓声が沸き起こっているから、決勝が始まったのだと思う。

 真面目なメイヤとハーニャは、敵情視察と言って見に行っている。

 俺からしたら必要ないんだけど、まあ、勉強にはなるかな。


「あのう、もしウル姉達が妾にして欲しいと言ってきたら、どうするんっすか?」


「どうもしないよ。まずは自立出来るように教育するさ。そうしたらそんな事をしなくてもお金を稼ぐ事が出来るから、いずれはそんな考えもなくなるだろうさ。それに俺は年下だぞ。俺的にはピチピチの若い綺麗な子だけど、向こうは出来る弟位の感じだろ?姉弟でそんな関係にはならないだろうさ」


「そんなもんっすか?」


「違うのか?」


 そんな会話をしていたが、この場にいたタニスにナイフの部の招集が掛かったら、練習場に呼びに来て欲しいと告げネイリスとウォーミングアップに出掛けた。

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