前のエピソード――第48話　頭に水を掛けられる

　バシャっ！

　突然頭の上から冷水を浴びせられ、それにより周りが騒然とする。

　背後からやられたが、おかしい。

　気配からアルテイシアさんが近くにいるのが分かっていた。

「見損ないました。この獣！何が筆下ろし用の性奴隷よ！誠実な人かと興味が出たのに最低ですわ！」

「何してるんっすか！ボク達の命の恩人なんっすからやめるっす！」

「アルテイシアさん、昨日振りです。足を滑らせたのですか？」

「何をいけしゃあしゃあと！奴隷を囲って己の欲望の捌け口にするなんて、日本人の風上に置けませんわ！私と勝負なさい！」

「私達の御主人様に何をしているのですか！離れなさい！」

　メイヤがタニスとハーニャを引き連れて来た。

「ま、まさかこの３人が攻略対象の性奴隷だなんて！最低です。私がなんとかして貴女達を救うと誓います！屈辱的な生活も直ぐに終わらせますわ！」

　タニスが何か言い掛けたが手で制した。

「何か誤解か勘違いをしているようですが、今の貴女に何を言っても無駄でしょう。勝負の話を聞きましょう。人目もありますから、何はともあれ座りませんか？」

　フンッ！と言った感じで対面に腰掛けるが、アルテイシアの背後にはタニスと戦った男が腕を組み立っていた。

　それとナイフ部門に出て治療した子も見えたな。

　また、隣には見知らぬ、いや、この後の種目に出場する女の子が座る。

「まあ良いでしょう。私が勝ったら貴方が奴隷としている彼女達を頂きます！」

「支離滅裂で唐突ですね。勝負に私の奴隷３人を賭けろと仰るのですね？ならば私が勝ったら何を差し出すのですか？基本的に等価か、勝負を申し込まれた側が相応の内容だと判断に足る物を賭けなければ３人を賭けられません。それと勝負の方法は？」

「アルテイシアさん、この人の言う事は正論ですよ！」

「くう。な、ならば私が貴方の奴隷になれば文句は無いですわよね？」

「君に俺の大切な３人の仲間に見合う価値があると？女性の奴隷の最大の価値は何かご存知か？」　

「そのような事知りませんわ」

「仕方がありませんね。女の奴隷の価値は生娘かどうかで判断します。ですが、貴女が生娘だろうがなかろうが１人では足りません。こちらの奴隷１人につき１人です。こちらは３人共に生娘ですから、そちらが差し出す者も女性でかつ生娘のみです。そちらが３人出すならこちらもこの３人を出しましょう！但し、そのうちの１人は貴女です。その覚悟がなければ謝罪し、勝負の申込みを撤回する事です」

「ぐぬぬ。勿論私は生娘です。分かりました。この子と、昨日その方と戦い怪我をした子と３人なら良いですわね？勝負は団体戦の勝敗です！これで良いですわね？」

　隣の少女を見るとハイハイと返事をする。

　そしてアルテイシアさんの後ろにいた少女も何故か同意していた。

「分かっているのですか？見も知らぬ奴隷３人の為に、私に純潔を捧げる事になるかもなのですよ？勿論あの子達と違い、自らの意思で奴隷になった女の純潔については、遠慮する事無くその日のうちに散らさせて貰います！それにこちらは２人も優勝者がいて、決勝を戦う者がまだ２名いるんですよ。つまり５人共武器別で決勝に出ているんですよ！」

「こちらも優勝者は２人いますし、まだ２名の決勝戦を残しています！この子もあのような子供だましに引っ掛かりさえしなければ優勝出来る実力者なのですよ」

　俺はため息を付き、この後何故かハーニャの真言で契約までする事になってしまった・・・

　取り敢えず１度奴隷にし、無茶な事をした事を反省させて直ぐに解放しよう。

　闘技大会で得たお金で何とか１人は奴隷解放出来そうだから、まあ問題はないだろう・・・と思いたい。