第27話 換金と貨幣価値
魔力切れを起こしたのは今回が初めてだった。
屋敷にいる頃、もし魔力切れを起こして気絶している所を、誰かに発見されでもしたら事故案件になり兼ねないから、特に注意を払っており、これまではそういった事態には陥った事がなかった。
はっきり言って2度とやりたくない。
何でかって?
目茶苦茶気持ち悪いんだよ!
2日酔いで苦しんでいる所へ、腐った牛乳を飲んだくらいに・・・
オゲエエエ・・・と唸りたいのを我慢している。
俺にもね、見栄があるんだよ!
彼女達の前で主人たる俺が情けない姿を晒す訳にはいくまい!
しかしね、女性というのは、男には少ない母性があるいんだよ!
何でも出来る頼れる男!として振る舞っていても時折抜けていたり、弱い所を見せるとキュンと来るわけだ。
俺は目覚めた時にタニスの静止を振り切って立とうとしたら・・・リバースしてしまったんだよ。
辛うじて彼女に吐瀉物が掛からなかったけど、肩を貸されて少し移動する羽目になったんだ。
ツンデレ気味なタニスが慌てて俺に対して甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたんだ。
気を張っており、生き残るためにツンデレさんになったようだ。
俺の取った英雄的行動は彼女の心に深い感銘を与えた。
彼女の目には驚きと感謝の光が宿り、微笑みが溢れていた。
その日以来、彼女は俺に対して特別な視線を向けるようになり、些細な事でもいつも気に掛けてくれるようになった。
それまで主人と奴隷との破れない壁を感じていたけど、膝枕の心地よさや真心は俺の心を多少なりとも撃ち抜いた。
コホン。
動けるようになってからは俺はリーダーシップを発揮する。
3人は良くやってくれたが、ここは俺の番だ。
その場を去ったけど、森はまだ燃えている。
馬車にはウルナさんも一緒だ。
向こうのリーダーと俺達のリーダーが話し合う必要があり、メイヤもお目付け役としている。
ウルナさんの話だと不思議な事にこの森はこれまでに何度となく燃やそうとしたが、ことごとく失敗している。
森がどんどん広がっていて、薬草が取れる場所も年々減っているそうだ。
だから森が燃える事は悪い事ではないとの事。
俺達が町に向かっていると、馬に乗った騎士や兵士が森の方へと駆けて行くのとすれ違う。
まあ誰何された訳でもないからアレは俺がやりました!と教える義理もないから邪魔にならないようにだけしたよ。
タニスに目ん玉光線を放った後の事を聞いたけど、サクッと倒したそうだ。
気絶と引き換えになるが、ドラゴンだって当たれば殺す事も可能さ!キリッ!
町に入りそのまま冒険者ギルドに向かう。
冒険者ランクはアイアン(鉄)ランクからスタートし、依頼を達成すると上がっていく。
ブロンズ(銅)
シルバー(銀)
ゴールド(金)
プラチナ(白銀)
ミスリル(秘銀)
となる。
俺達の冒険者ランクは国境を超えた道中で魔石などを売った影響からブロンズだ。
また、ウルナさん達もブロンズだ。
ただ、シルバーより先は、ウルナさん達のように非戦闘系の依頼しかこなしていないと、上がる事が出来ないんだ。
ギルドの買い取りカウンターで話をすると、裏手にある解体場に持って行くように言われ、そちらに馬車に積み込んだ魔物を出して行く。
既に討伐証明部位と魔石が抜き取られていたから査定は早かった。
オークは全部で18匹で、そのうちの一匹がグレートオークだ。
魔石は別で、オークは1匹当たり金貨4枚。
グレートオークは金貨30枚になった。
これは普通のオークが一般的な肉に対し、グレートオークは貴族向けの高級肉となるからだ。
さしずめブランド肉といった所だろうか。
魔石はオークは金貨1枚/1匹だ。
グレートオークは10枚だった。
元々今回俺達が受けた依頼はゴブリンの討伐依頼だった。
6匹以上の討伐で依頼達成で、1〜5匹だと依頼不成立だ。
ただ、失敗扱いはされない。
金額は銀貨12枚だった。
勿論6匹以上討伐すれば追加でお金が貰える。
追加分は1匹に付き銀貨1枚だ。
また、魔石は2個で銀貨1枚だった。
結局ゴブリン6匹とホブゴブリンだった。
ホブゴブリンの魔石は銀貨4枚、討伐報酬は銀貨3枚。
また、今回は想定外だったが、常時依頼がありオーク1匹に付き銀貨3枚になる。
そのように書いてもパッと来ないだろう。
夫婦と子供2人の家庭の場合、1月生活するのに最低金貨10枚はいる。
それ位の貨幣価値だ。
鉄貨10枚=銅貨1枚
銅貨10枚=銀貨1枚
銀貨10枚=金貨1枚
他にも大金貨とかもあるが割愛する。
つまり諸々計算すると金貨125枚と銀貨73枚になるはずなんだけど、全部で金貨150枚を受け取る。
どうも本来出ないイレギュラーが発生した影響のようで、追加報酬を得たようだ。
ここから馬車の手配料として金貨20枚を引き、残りの金貨130枚が残る。
実際の手配には金貨15枚だったが、ウルナさん達が積み込みを手伝ってくれた分として1人につき金貨1枚にした。
遠慮されたが、ウルナさんの手に直接金貨を渡す形で強引に渡したよ。
お金は各自金貨10枚の配分とし、残りと俺の分を合わせると金貨100枚が使える。
ちょっと気になる事があり、明日も魔物の討伐をするつもりだが、ウルナさん達が薬草採取するのに同行してその周辺の駆除をする事にし、本日は解散となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます