第十二話 第二ゲームへ
残り六人の参加者がいるレーンの奥にあるドラム型洗濯機の扉が開いた。大袈裟なファンファーレやドライアイスなどの演出はなくパチリという間抜けなサウンドだった。野球場もそうだがこのゲームは演出や装飾をもっと豪華にできないのか?ホストの月明ウルフは死んだ。確かに安全にリタイアするチャンスがあった方がこのゲームのプレイヤーを奮い立たせることができるかもしれない。一人がこのマンションを出ることが確認できればゲームのモチベーションを維持できる。
銀田と市来こうきは何かを話しているようだ。和白がため息と区別がつかないような深呼吸をしている。
ルキナは一言も語ることなく自分のいるレーンにある充電器を手に取った。ルキナはすぐに電源ボタンを見つけた。シオリはルキナとコミニュケーションをとることなく充電器を持って頷いた後に洗濯機の方を見た。
すかさずピエロが手に持ったスマホの中から楽しげな声を響かせた。低い声は興奮と高揚感をどちらも兼ね備えている震えを帯びていた。
「皆様。洗濯機のなかのスペースの底にある箱の中にバッテリーをはめ込んでくださいまし!マシマシ!ほほ」
マシマシってなんだよ。イライラするな。この厳しい現代社会で元も正しい生き方をしている愚人を馬鹿にするなよ。洗濯機の中で青い光に照らされている空間の底には先ほどはなかった四角の箱が配置してある。この洗濯機の中から脱出できるのではないだろうか。中に入ったら壁という壁を触って調べておく必要がある。
フェンス越しに見える和白とシオリは足早に洗濯機の中に近づいて丸い扉を潜っている。
俺は振り返ってフェンスの向こうで佇むロベルトを見た。パントマイムのように停止したロボットの銃が取り付けられた腕を見ると少しだけ揺れている気がした。ロベルトのボディのパーツは相当頑丈なのは確かだ。でも腕のない細身の人間だったらロボットのように見える鎧を着ることができるかもしれない。まだわからないことが多い次の階にはどんなゲームが用意されているのだろうか。
スマホの画面には時計の表示が追加されていた。二十六時四十五分。コインランドリーに入った時は深夜の二時ごろだからまだそんなに時間が経っていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます