脱ファンタジー世界

流 裕

サンタクロース

12月25日の朝、三才の健大の枕元には飴や茱萸が幾十にも詰まった靴下型の袋が置いてあった。

「ねぇママ!起きて!起きて!」

母はいつもよりも眠そうな目を開けて健大の顔を見つめる。その顔は少し嬉しそうだ。

「おはよう健大、どうしたの?」

「見て!これ…あめ!グミ!いっぱい!」

「良かったね!健大」

綺羅々かな飴の包み袋よりも輝いているのは健大の笑顔だ。

「すごい!…でも、どうしてなの?」

健大の顔が不思議そうなものに変わっていった。

「あのね、健大。良い子にしてるとサンタさんが毎年プレゼントを持ってきてくれるのよ。良かったね」

「うん!」


後になって健大はありとあらゆることを不思議に思い始めた。


ーーサンタさん…どこから来るだろう?気になるなぁ


「これからの時代には必要だから」と言って両親がくれたスマホを使って調べたくなるのは子供の好奇心だ。両親に教えられたように検索画面を開く。


🔍️サンタクロース

 サンタクロース本物

 サンタクロース親

 サンタクロース正体いつ分かる

 サンタクロース親いつ言う


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