(二)-18
そう思い至ると、浜野の体は梨子を置き去りにして走り出していた。そして一刻も早く真紀奈に告白しなくてはいけないと思ったのだった。なんでそう思ったかはわからなかったが。
「知ってた」
真紀奈は短く答えた。直後、後ろから「おお!」と歓声が上がった。
「でも……」
真紀奈は続けた。
「返事はちょっと待ってくれないかな」
後ろから大きなため息がいくつも連呼した。
「お前、やっぱり和佐のことが……」
「だから、ちょっと待っててって言ってるでしょう!」
そう言うと、真紀奈は走り出した。同じ部の同級生たちと、浜野を置いて。
(続く)
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