(三)

 姉ヶ崎妹子から返事をもらえるのはいつだろうか。教室に残ってそう悶々としている一ノ宮和佐のところへ鵜原真紀奈がやってきた。

「どうした、真紀奈、息を切らして」

 和佐は部活をしていなかった。だからいつもならさっさと帰宅するところだが、このときは「勇者ゲーム」の返事をもらえることも考えて、しばらく教室に残っていたのだった。

 どうでもいい新入生歓迎イベントにも正直あまり付き合いたくないとも思った。でも一応この学園に入ったことだし、郷に入っては郷に従えともいうから、とりあえず、好みのタイプのクラスメートに告白してみた。その程度であった。他に好きな女性なども特に意識したことはなかった。


(続く)

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