(二)

 一ノ宮和佐はずっと悩んでいた。一体誰に告白するべきか。

 実は高等部では約半数強が内部進学者ではあったが、残りの四割強が高校からの新規入学者であった。だから同じ悩みを抱えているのは和佐だけではなかった。

 それにこの学園には和佐と同じ中学出身者も何名か入学していた。その中には小学校入学前からの幼馴染である鵜原うばら真紀奈や浜野広太郎もいた。

 だから「勇者ゲーム」の話を聞いた当初、和佐は幼なじみの真紀奈に告白しようかとも考えた。しかし、本当に彼女の事が好きかと言われればそういうわけでもなかった。

 そうして一ヶ月間悩み抜いた末、ゴールデンウィークの最終日に、一年生の中でも注目を浴びていて人気の高い、美人の姉ヶ崎妹子まいこに告白することに決意した。

 彼女とは同じクラスであり一ヶ月ずっと見ていたが、確かに皆が憧れるだけある人であった。


(続く)

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