勇者ゲーム
【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名
(一)
「勇者ゲーム」。
それは大正時代に私立の女学校として創立され、現在は共学の中高一貫校である八百生学園高校における新入生オリエンテーションを兼ねた親睦行事のことである。
その内容は「高等部の一年生になった生徒は全員、一学期の中間テストまでに好きな人に告白する」というゲームである。
イベントは四月と五月の二ヶ月間開催される。まず、四月中は準備期間だ。この間で勇者ゲームを実行に移すあらゆる準備をしなくてはならない。そして五月に入ると活動スタートになる。ほとんどの生徒はゴールデンウィーク開けから本格的に活動することになり、五月末までの約一ヶ月間に、最低でも一人に告白をしなくてはならない。
中等部からの内部進学者が半数以上を占めるこの学校に、高校受験して新たに入学した一ノ宮和佐も、思春期真っ只中の生徒に勇気と、羞恥心への抵抗力を試すこの行事への参加を余儀なくされることになったのであった。
そしていま、そのゲームの幕が開けようとしていた。
(続く)
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