7に愛された男
俺の名は伊藤祐希。45歳パチプロだ。
45歳になって無職だと罵る奴もいるが、関係ないね。
俺は7に愛された男。
そう、パチンコをするために生まれたような人間なのだから。
自慢じゃないが、半日もパチンコ台に座れば平均的なサラリーマンの2倍は稼いじゃうからね。
定職に着いてアクセク働くなんて馬鹿らしいじゃないか。
そんな俺がどこか他の世界に飛ばされてしまった と思う。
神様にも会ってないし、なんの転移イベントも無かったのに、何故飛ばされたと分かったのか。
それは………突然確変が来なくなったから。
その日も俺は朝一からパチンコ台に座っていた。
順調に一万発のドル箱を積んだのは、1時過ぎ。
あと一回確変が揃ったら止めようと思い、ハンドルを回す。
一瞬眩暈を感じるが、そんなのはよくあること。
そのまま7が揃うのを待つ。
揃った!だが確変に入るはずが一瞬で終わる。
見間違いか...
その後もすぐに7が揃うのに、玉はどんどん減っていく。
おかしい見間違いか?
そして1箱が半分飲まれたところで、呼出しボタンを押して店員を呼ぶ。
「どうされましたか?」
「7が揃ったのに玉が出ないんだ。故障か?」
「7…でしょうか。7は小当りですが。」
「えっ、7は大当りだろ。」
「こちらの説明書をお読み下さい。パチンコの絵柄で大当りは4が一般的ですよ。
7はほら、小当りです。」
確かに台の横に置かれている説明書にはそう書いてある。
「そんな馬鹿な」
店員は他の機種の説明書も持ってきて見せてくれた。
どれを見ても、やはりラッキーナンバーは4。
7はアンラッキーナンバーで小当りだった。
そんな、そんな馬鹿な。この台『パチンコ セブンフィバー』だって ええっ、『パチンコ フォーフィバー』って、ええっ!!!
ここがこれまでとは違う世界だと気付いた瞬間だった。
7に愛された男、45歳無職。
「俺はいったいどうすれば…」
俺は途方に暮れてしまった。
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