第12話 能力2
「あぁ~うっとうしいの魔法ちゅうのは。本来のワシならこんなもん………体もまだなかなか自由に動かんし、変な縛りもつけやがって、あいつ次あったら何が何でも殺したらぁ」
「おいおい、勘弁してよ…これ以上の魔法はこの場では使えないよ……」
裕太は落胆の表情を見せる。
この鬼が何者なのかはわからない、
しかし味方ではないのは確かだ。
俺はこの状況を何とかできないか
頭をフル回転して考えていた。
健太さんを呼びにいくか?
いや、でもその間裕太は1人でこいつと…
けど俺がいても足手まといにしか…
誰か騒ぎに気がついて助けに
元はと言えばこうなったのは俺のせいだ
もしかして俺が死ねばこいつは消えるんじゃ
俺は無力だ、役立たずだ
どうすればいいこの場をどうやって…
どうするどうするどうするどうするどうする
俺は完全にパニックになっていた
頭が痛い、誰かに頭の中をぐちゃぐちゃに
かき混ぜられているようだ
「うぅぅ、ぐぅ…う…はぁはぁ…はぁ」
「か、海!どうしたの!?」
「ぐぅぅぅぅ、ぐぁぁ!ぐぅあ」
頭の痛みがどんどん酷くなってくる。
俺は意識が飛びそうな程の痛みで頭を抱えながら地面を転がった。意識を手放したかった、けど意識を失う事さえできない状態が続いていた。
「海!大丈夫!?海!!」
「ぬぅぅ?これは…………」
「ぐぁぁぅぅ…あぁぁぁ!」
俺は意識が持つギリギリのところである声を聞いた。
不思議な声だった
心地の良い声だった
頭に響くような痛みを和らげてくれているような
内容はほとんど聞き取れなかった
だが最後の一言だけ聞き取れた
[探しなさい 選ばれる事のない者達よ]
その言葉を最後に声は聞こえなくなった。
「おい……ガキ、今回は見逃してやる…次はしらんぞ」
鬼は少し苦しそうにその言葉を言った直後
体が透けていき、
最後には跡形もなく消えた。
「……え?どう言う事だよ…いきなり」
「ぐぅ…ぅ…ゆ…ゆう、た…あ、あいつは、、」
「わ、わからない、、今回は見逃してやるって言って消えていった…」
頭の痛みがどんどんと和らいできた俺は
裕太の肩をかりて起き上がった。
「いや…いいよ裕太…お前の方がボロボロや…」
「これくらい大丈夫だよ!それより、海いきなりさっきはどうしたの?」
頭の痛みがほとんど消えた俺は裕太にお礼を言って
裕太に向き直った。
「いや、俺もわからん…いきなり頭が割れるように痛なって、変な声が聞こえて…鬼が消えてからどんどん痛みが引いていったんや」
「変な声?海の能力か何かかな?…けど、この能力はまだあまり使わない方がいいね、謎が多すぎる、僕の能力でもまだ全然わからなかった。…それにあの鬼…あいつはかなりやばい、僕が本気でやってもどうなるかわからないね…」
「そうか………悪かったな、俺が安易に能力を発動したりしたから」
「いや、僕もちょっと本気だせば何とかなるぐらいの安易な考えでいてたから…あーぁ今日は本当にカッコ悪いな僕、2人にビシッとこっちのカッコいい僕を見せたかったのに!」
裕太は俺に気を使ってか、冗談っぽく言って
俺に笑いかけた。
「いーや、カッコいいよお前は、ありがとな」
「ははは、いざ言われると照れるな、、まぁとりあえず僕の部屋に戻ろうか、健太さんも戻ってるかもしれないし!」
-------
--------------
---------------------
「って感じだね」
「それって能力の暴走か?能力が意思を持ってるってのも不思議だよな」
「そうなんだよね、また一つ謎が増えちゃったよ、これから忙しくなりそうだね、、、あ、それでつかさは大丈夫だった?」
「あぁ!カスリ傷だってよ!ちょっと眠ってるよ」
「何だかそれもそれで、ちょっと傷つくけど…やっぱり能力で身体強化されてたのと、つかさは昔から体だけは丈夫だったもんね!」
裕太は冗談っぽく言っているが、おそらく本当に心配していたのだろう、安心したのか先程までの緊張した顔がなくなっている。
「じゃあ、とりあえずつかさの様子でも見に行こや、俺の能力の事はゆっくり考えていく」
俺たちは裕太の部屋をでて、つかさが寝ている
医務室に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます