第11話 能力
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「よぉ、どうだったよ!ってお前ら何でそんなにボロボロなんだ?」
俺と裕太は訓練場から出て、裕太の部屋に戻ってきていた。
「それがさ、、海の能力が予想外で…」
「……………………」
そう、あの時、、能力を発動した俺は暴走してしまった。
正確には俺自身が暴走したんではなく、能力が暴走した。
「けど裕太、お前がそこまでになるって事は、かなり強力な力だったって事か?」
「それが実は…」
1時間前
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「能力[砂の兵隊]」
「こ、これって……」
「海、これは一体…何をしたの!?」
光が収まり、目をあけた俺たちの目の前には、
身長3mはあるであろう巨体に
着物を纏った鬼がいた。
そう、まさしく鬼なのだ、童話などでも
お馴染みの二本の角に赤い肌、尖った牙にするどい眼光。違う部分をあげるとすれば、雷パンツは履いておらず、着物を着ている。そして、金棒の代わりに…なんだあれは?バズーカ?ロケットランチャー?か何かを担いでいる。
「海?……さっき砂の兵隊とか何とか行ってなかった?全然砂の兵隊じゃないよ?」
「いや、すまん俺も何が何だか……」
俺がさっき地面に書いた文章はこうだ。
あるところに1人の砂の兵隊がいました。
砂の兵隊はずっと1人でした。
ある時砂の兵隊は思いつきました。
周りの砂で仲間を作ろう。
そして、砂の兵隊はたくさんの仲間を
作りました。
しかし、ある日たくさんの雨が降りました。
体が砂でできた兵隊達は崩れてしまいました。
何とも後味が悪い話しだが、地面に文章を書くのも限界がある為に簡単な短文を書いた。
何故このような文章にしたかと言うとある憶測があったからだ。
もし俺の能力が文章に書いた事が現実世界に実際におきるような能力なら、あまりに危険な事を書いて、
それが実際に現実でおこってしまっては、たまったものじゃないからだ。
最終的に自動で能力が終わりを迎えるような展開にしたのだが。
「これ、鬼だよね?海の能力は鬼を召喚する能力?けどそれじゃあ発動条件と、能力名が意味不明だよね…」
裕太は苦笑いで俺に言った。
確かに、、、それじゃあ作品ってのは文章の事じゃなかった?けどもしそれが違ってたんならなぜ、能力が発動した?いや、正しく能力が発動したとはまだ、言い切れないが。
「ゆ、裕太?お前の能力でまだわからんのか?一応能力を発動した訳やし多少は情報も手に入ったんとちゃうの?」
「い、いや、それが…」
その時、さっきまでただ俺たちを睨んでいただけの鬼の口が開いた。
「お前か、さっきからワシの中覗き見ようとしてたんわ?」
「!?」
こいつ話せるのか!?
鬼は図太い声で話しかけてきた。
能力って意思を持ってたりするもんなのか?
俺は裕太に目で訴えかけた。
すると、俺の意思が伝わったのか能力で何かしら俺の考えを読み取ったのかはわからないがハトが豆鉄砲をくらったような顔で首を横に振った。
まぁ実際ハトが豆鉄砲をくらった現場は見た事がないのだが。
「おい」
「い、いや覗き見るって…どう言う事でしょうか?」
その瞬間、鬼は肩に担いでいたロケットランチャーらしき物(長いのでここでは武器と呼ぶ事にする) を握りしめると、それを裕太目掛けてなぎ払った。
「う、ぐぅ!」
武器で薙ぎ払われた裕太はそのまま壁のある位置まで吹き飛ばされる。
「裕太!!」
「質問をしてるのはこっちじゃ。ワシは質問に質問で返されるのが一番嫌いじゃからの」
「い、いきなり何するねん!!お前は何なんや!!」
「お前もか…けどワシはお前には手出されへんからの、助かったの」
こいつは一体なんなんだ、俺には手を出せない?言葉が通じるかと思えばいきなり攻撃をしてきたり、
その時、裕太が吹き飛ばされた方向から炎の柱が鬼に向かっていく。
「なんじゃぁ?」
そのまま鬼は体全体を炎で包まれ
メラメラと燃えだした。
「くぅ…海、、大丈夫??」
フラフラとこちらに向かって裕太が歩いてくる。
「油断してたつもりはなかったんだけど、何てパワーしてるんだよこいつ…」
「俺は何もされてへん、それより裕太お前は大丈…!!!!?????」
俺は急に背筋が凍りつく感覚に襲われ後ろをを振り向くと、裕太が放った炎に纏われたままこちらに近づいてくる鬼がいた。
「おいおい、嘘だよね?一応さっきの魔法最上位魔法で、数秒あれば並の相手なら消し炭にする魔法だよ……消し炭にはならなくても結構なダメージは通ると思ったのに......」
「なんや?これが魔法ちゅうやつか、こんなもんでワシを消し炭にする?笑わせんなや。今から相手を消し炭にするほんまのやり方ってもんみせたらぁ」
最初でてきた時と比にならないぐらいの威圧感
を放って鬼は言った。
「海!そこから離れて!!火属性最上位魔法ファイアークロス!」
俺は裕太の言う通りなるべく遠くに離れる為
その場から駆け出した。
ふと裕太の方をみると裕太の前に炎の十字架が出現していた。
かなり離れているのにここまでかなりの熱が伝わってくる。
「訓練場をこれ以上壊したらまずいけど、今回は仕方ないね、海にも後で証人になってもらうからね!」
裕太はそう言うと炎の十字架を鬼に放った。
鬼にぶつかった十字架はそのまま周りの酸素を吸い込むかのように大きな火柱をたてていく。
そのせいか、心なしか息苦しくなる。
そして、数秒後、炎の勢いが収まったその場には
無傷の鬼がいた。
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