第10話 異世界3
「裕太ぁぁぁ!!避けろーー!!」
「火属性中位魔法豪火球!」
俺は裕太に精一杯の声で叫んだ。
しかし、裕太は避けるそぶりも見せずに
手のひらだけをつかさの方にむけ、
人間の頭程の大きさの火の玉を
つかさにぶつけた。
その瞬間裕太とつかさの間には小さな
爆発がおきた。
「ウグっ!」
火の玉を至近距離でぶつけられたつかさは
そのまま訓練場の壁に激突した。
「グゥ、、ケ、ケケ、」
だがつかさはまたすぐ立ち上がると裕太の方にフラフラと歩きだした。
一方裕太の方を見ると先程の爆発などなかったかのように平然と立ちつかさを見ていた。
「おい裕太!こっちの泣きピエロは俺が抑えておく!つかさの方は頼んだぞ!」
そうだ、もう一体のピエロの事を忘れてた。
そう思い健太さんの方をみると、奇妙な動きをしたピエロが健太さんにナイフを何本も飛ばしていた。
そのナイフを健太さんは腕で弾き飛ばしながらタックルをする。しかしまたもピエロはトリッキーな動きで攻撃を避け、どこから出したかわからないナイフで攻撃を仕掛ける。
「くっそ!うっとうしいピエロだ!ここが城の中じゃなけりゃぁ!」
「じゃあ健太さん!少しの間お願いします!」
裕太はそう言うと両手を前に突き出し、
手のひら同士を重ねた。
「その能力は気を失う事で解除されるらしいからね、、ごめんねつかさ、ちょっと手荒になるけど……死なない程度にはするから…光属性最上位魔法ホーリークロス!」
裕太がそう唱えた瞬間目の前がとてつもない光に包まれ、それと同時にドゴーンと言う爆発音に近い音が聞こえた。光が弱まり薄っすら目を開けると、そこにはボロボロの姿で倒れるつかさがいた。
「おい!つかさ!大丈夫か!」
俺は客席のベンチからつかさの元に駆け寄った。
「ごめんね…ちょっとだけ本気を出さないと止めれそうになかったから…」
「それでもこれはやりすぎちゃうんか!!」
「海、裕太はあれでもかなり手加減したんだ、あのまま裕太がなにもしなければ裕太は殺されていた」
「そんな…けど……」
「こんな事になったのは裕太の言う事を聞かずに勝手に先走ってしまったつかさにも非がある。ちゃんと先に言わなかった裕太にもな」
「……………」
「よし!じゃあとりあえず俺はつかさを医務室に運ぶ事にする!裕太はここに残って海の能力を見てやってくれ!」
「悪いね…」
「あぁ、けどまた訓練場こんなにボロボロにして、クルードさんにまたどやされるぞ」
「あっ!ちょっ健太さんも一緒にやったって事にしてよ!!」
「ん?知らん!」
健太さんハハハと笑いながらつかさを担ぎ、訓練場からでていった。
「裕太、さっきは怒鳴って悪かったな…」
「ううん、あれは僕にも責任があるんだ、僕たちの能力はまだ能力に慣れてない内にどんどんつぎのステップに進んでいくと能力にのまれて、暴走する可能性があるんだ。使いこなすと協力な力だけど、一歩間違うとすごく危険なんだよ…それを最初に言っとかないといけなかったよね…」
つかさが暴走したのはそう言う事だったのか、
能力を発動して、まだ慣れてない内にいきなり
次のステップに進んで能力にのまれた。
俺も気を付けないとな。
「そーか、わかった俺も気をつけるわ、で?俺の能力はどんなん?」
「実はその事なんだけど…」
歯切れが悪い、嫌な予感がする。
もしかして俺にだけ能力がないとか?
「実は、能力の発動方法と能力名しかわからないんだ…だからもし能力を発動してとんでもない能力だったら…」
そうか、もう能力を発動した瞬間に暴走してしまったら、その能力がみんなを危険に脅かしてしまうような能力だったら。
「そんな発動したら何が起こるかわからん能力なんか使われへんやんか、、まぁとりあえず能力名と発動方法は?」
「能力名は [author] 発動条件は作品を作り上げタイトル名を唱える事。って分析されたんだけど、大まかすぎるんだよね、作品って言うのはどの分野の作品なのか、それを唱える事によって何が起きるのか。まずその作品が作り上げられたって判断基準は誰による物なのかが…」
author(オーサー)ってのは、著者の事だよな
作品を作り上げタイトル名を唱える…
俺が前の世界で最も関わりが深かった物事と言えば、、やっぱり本だよな?作品を作り上げるって部分は作り手が完成と思ったら完成じゃないのか?よくわからないが、一度試してみるか?
「なぁ、裕太、、お前この世界では強いんやろ?」
「え?ま、まぁ自分で言うのもなんだけど、一応隊長を務めてるからには」
「じゃあ、俺が暴走したら止めてくれるか?」
「まさか能力を使うの!?なんの情報もないのに!?…………わかった、全治何ヶ月になっても知らないよ!?」
俺は裕太にニッコリと笑いかけた。
俺は床にさっき砕けちった壁のカケラを使い
ガリガリと短い文章を書いていく。
「能力[砂の兵隊]」
俺は書き終わった文章の上に手をつき、
唱えてみた。すると、さっき書いた文字が
淡く光だした。その光は徐々に強くなっていき
終いには目を開けることが出来ない程の光となった。
そして、しばらくすると、光は徐々に弱まってきたので目を開けた。
「こ、これって……」
「海、これは一体…何をしたの!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます