第5話 再会?


健太さんに連れられ俺たちは目的地の城の寸前まできていた。そこは中世ヨーロッパのような街並みでどこもかしこも賑わっていた。まぁ実際中世ヨーロッパはネットでしか見た事がないからイメージでしかないのだが、、




「ほら、あそこに建ってるでっかい城あるだろ?あれが俺たちの目的地だ」




「あんなところに裕太がいるんですか!?」




そこには360度どこから見ても目につくであろう立派な城が建っていた。あんな豪華なところに裕太がいるのか?何してんだあいつ




「ガー、ガー、グガー」




つかさは荷台で爆睡していた


アニメでしか聞いた事がないようなイビキをかいて。


よっぽど疲れてたのだろうか?縛られたままなのに、さっきまでの緊迫した空気が嘘のようだ。




「そう言えば健太さんは何であの牢屋にいたんですか?そんな格好をして」




任務がどうとか、情報がどうとか言ってたので、囮捜査か何かだろうと思いつつも聞いてみた




「あぁ、あれは奴隷商会を潰す為のオトリ任務だよ。あの牢屋にいた人達はみんな人攫いに攫われたり売られて金に換えられた人達だ。それを助けだすのと同時に、情報を探り他の地区の奴隷民の情報を探るのが今回の任務だったって訳だ。さっきみたいに力技で解決するのは軍の人間を送り込めば簡単なんだが、それでは他の奴隷にされた人達を助ける事ができないからな、けど、今回は難易度Aランクの任務だった筈なんだけど、楽に終わってよかった」




「そうなんですか?難易度ってのはよくわかりませんが…それなら外でいた人達は?」




「あれはもしも俺がしくじったり、俺一人ではどうしようもなくなった時の為の保険だ、俺が追跡魔法を付与した発信機を飲み込んで潜入してたからそれを辿って外で隠れて待機してもらってたんだ!まぁ今回は俺1人で何とかなったな!ははは!」



魔法とか奴隷とかいよいよファンタジーだな


発信機を飲み込むって、、そこまでするのか。


健太さんの話しを全て鵜呑みにするなら


健太さん達は2年前この世界に連れてこられ


ひょんな事から軍?警察?詳しい事はまだわからないがそこに入隊して、悪を倒して過ごしてるって事か。


じゃあ裕太もそう言う事なんだろう。




「それと、健太さんが、牢屋の中で使ったあの力は何ですか?つかさを突き飛ばしたり、鉄格子を突き破ったり…あと、あの鎧は?」




「ん?俺はこの世界に来た時に自然と力の使い方は理解できたが…まぁ聞きたい事は山程あるだろうな、とりあえず着いたから裕太に会いに行くか!あいつ喜ぶだろうな、、その後裕太と一緒に俺たちが知ってる事は全て話してやる」




健太さんはそう言ってニッコリ笑うと、馬車から降りてつかさの縄をほどきだした。




「おいつかさ!起きろ!着いたぞ!とりあえず裕太に会ってそれからこっちの詳しい事説明してくれるってよ」




「んん…」




とりあえず寝ぼけてるつかさを引きずりながら健太さんに着いて行く。




「ここは軍か何かですか?」




「いや、ここは見た通りの立派な城だよ。王族が住んでるんだ」




「え?そんな場所に勝手に入ってもいいんですか?」




「ああ、俺は王直属の軍隊長だからな、ある特定の場所を除けば自由に行き来が許されてる」




「じゃあ…裕太も??」




「それは見てのお楽しみだ」




健太さんはとりあえず何も聞かずに着いてこいと言うので、その通りにする事にした。




「この奥に裕太がいる、久しぶりの再会にはならないのか、君たちにとっては」




健太さんはそう言って扉の前に立ち少し気まずそうに苦笑した。


つかさは完全に目が覚めていたが、何を喋らず黙ったままだった。




「じゃあ開けるぞ」




健太さんが扉に手をかける




「王直属部隊3番隊隊長須藤健太只今戻りま…した?」




そこには驚愕の光景が広がっていた。












「裕太さん!今日はわたくしとデートしてくれる約束でしょ!?」




「姫様、街にどのような危険が潜んでいるかわかりません、買い物なら私と裕太様で行ってまいります」




「何よ!そんな事言って裕太さんと2人で出掛けたいだけでしょ!」




「私はただメイドとしての役割を果たそうと!」




そこには裕太が、少し大人びた裕太が2人の美少女に両手を引っ張られ揉みくちゃにされていた。




「ちょ、ちょっと2人とも落ち着いてよ!3人一緒に行ったらいいんじゃないの!?」




「「ダメです!!」」




「もー困っちゃうな~」




裕太は口ではそう言っているが、どっからどうみても嬉しそうだ。




「つ、つかさ?あれって裕太で間違いないよな?」




返事がない




「つかさ?」




先ほどまでつかさがいた位置を確認すると、


つかさの姿が消えていた。






「ゆーーうぅぅーーたぁぁぁ!!!」




バキッと言う音が聞こえた瞬間、裕太の体がロケットのように飛んでいき、部屋の壁を突き破って廊下に飛んでいった。






「きゃーーー」






その瞬間廊下から女性の叫び声が聞こえた。


さっきまで裕太を取り合っていた2人は状況が読めないのか固まっている、健太さんも同様だ。


つかさに至っては口から煙を吐きながらフシュー


とか言っている。




「何やってんねんほんまに…」




とりあえず悲鳴が聞こえた方に行ってみる事にした。


嫌な予感はするが。

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