第4話 始まりの過去2
「じゃあ君たちは俺と一緒に先に城に向かおうか、その時に馬車の中で少し話しをする」
「はい、お願いします」
「あと申し訳ないがそのにいちゃんは縄で縛らせてもうぞ?目が覚めた時に暴れられたら困るからな」
そう言って男はつかさの体を縛り馬車に乗せた。
「よし、じゃあにいちゃんは一度横に乗ってくれ」
俺は言われるがまま馬車の助手席に乗った
「けどいいんですか?あの人達は仲間なんじゃほっていっても?」
「あぁいいんだよ、今回の任務は奴隷としてわざと捕まって内情を探る任務だったからな、ちょうど情報も集め終わって脱出するところに君達が来たんだ」
そう言って男は馬に鞭打ってゆっくりと馬車を進める
じゃあ尚更いなくていいのかよと思ったが言わなかった。
「それににいちゃ…ってずっと呼ぶのもなんだしな!
名前なんて言うんだ?俺は須藤健太だ」
「須藤さん?あ、俺は中谷海って言います、それで、こいつは東城つかさ」
「健太でいいよ、海とつかさだな?分かった、よろしく…………で、話しは変わってしまうんだが………さっきのそこのにいちゃ…つかさが言ってた俺が居眠り運転でお前らに突っ込んだって言う話し…」
「はい、俺はあなたの顔を見てはいないので、わかりませんが…つかさは…」
「…………………」
健太さんは無言で馬車を降りて俺に土下座をしてきた。
「すまなかった!本当にすまない事をした!君達に一生消えないトラウマを作ってしまって!」
本当ならここで、もういいですよ
そんな事はやめてくださいって言うのかもしれない
裕太が生きているって話しも正直まだ半信半疑だ
俺は何も言葉がでてこなかった。
そんな時健太さんの仲間が駆け寄ってきた
「隊長!何をしているのですか!?あなたがこのような事をしては!」
どうやら、仲間と言うよりは部下のような男が駆け寄ってきた
その男は必死に健太さんの事を起き上がらせようとする。しかし健太さんは動かない
「隊長!」
「俺はこの子達に殺されても仕方のない事をした、こんな事をしても償えるものじゃないんだ」
「し、しかし!」
……………
「…健太さん、、もういいです、頭を上げてください、それに健太さんの話しなら裕太は生きてるって…」
とりあえずこのままでは他の人達もこの場に集まってきそうだったので、健太さんには頭を上げてもらい、馬車に乗り直し、城に出発する事にした。
「俺を殺したいか?」
「つかさは多分そう思ってるでしょうね、けどそれはまだ裕太の事を知らないからで…」
「それは仕方のない事だ、だが、俺は居眠りで事故を起こした事になってたんだな…」
「違うんですか?」
「当たり前だ、、俺は居眠りするような仕事はしちゃいない、長距離トラックの運転手でもあるまいし、それにあの日の前の日はよく寝て体調も万全だったんだ」
「じゃ、じゃあなんで!?」
「わからん、、仕事中いきなり頭に変な声が聞こえた瞬間意識を失って気付いたら死んでましたってオチだよ」
「え……それって…」
変な声、確かに俺も聞いた
あなたたちはこの世に不要だから異世界にみたいな事を言ってたような気がする。
そう言えば事故が起きる直前も何処かから変な声が聞こえたんだ。
「けど、どんな理由があったとしても事故を起こして人を殺した事実は覆らない」
俺は何も言えなかった
もしこの話しが本当なら健太さんに
非はないんじゃないだろうか?
むしろ俺たちと同じ被害者なんじゃ…
「俺からは無責任に健太さんは悪くないとか、
そんな事は言えませんが……
そうだ!その時に聞いた声の内容は覚えてないですか?」
「そうだな…あの時は何が何だかわからなかったからな…」
「そう…ですか…」
何か手掛かりを得る事ができるかと思ったがそれは難しいようだ。
「それに、もう2年前の話しだしな」
「2年前!?事故があったのは昨日の事でしょ!?」
「ん?……いや、そんなはずは…、、
冗談を言っている様子はなさそうだな」
「健太さんこそ、あなたがこっちにきたのは2年前って事なんですよね?」
「あぁ、これは流石に予想外だな、よく考えれば海達が制服を着ている時点で不自然に思うべきだった」
一体何なんだ、誰が何の為にこんな事をしたんだ?
「じゃあ裕太も2年前にこっちの世界に?」
「あぁ彼は俺と一緒にこっちの世界に連れてこられた」
「裕太は生きてるんか!?」
「っ!!」
荷台の方からつかさが大声で問いかける。
「つかさ、起きたんか?」
「正確には途中から起きとった、とりあえず大人しくしとったけどな、そんな事より裕太が生きてるってどういう事や!」
「死んだけど生き返ったって言うのが正しい」
「あぁ!?何言うとんねんお前!海!どういう事や!」
「わかった!ちゃんと後で説明するからちょっとだけ静かに頼むわ」
つかさがいつから起きてたのか何処まで聞いてたのかわからない今、優先するのは少しでも情報を得る事だ。
「ちゃんと後で説明せえよ…」
あのつかさが人の言う事を素直に聞き、縄で結ばれた状況でも暴れずに大人しくしていたのは、つかさなりに今の事態を重く捉えているのだろう。
「そうこう言ってる内にもうすぐ着くぞ」
「そこに裕太が…」
「あぁ、君らといた時のあいつを俺は知らないが、
あいつが普通の学生だったんなら見たらびっくりするぞ」
今はほとんど今置かれている状況もこの場所の事もこれからの事もわからない、、けど、今は進むしかない。
元の世界に帰る為に。
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