第3話 始まりの過去

裕太のお通夜の帰りにいきなり


ブラックアウトした視界


機械質な声が聞こえたと思ったら










俺は、










いや、俺たちは
























牢屋にいた。






















「はぁ!?なんやこれ!目の前真っ暗なったと


思ったらいきなり何処やねんこれ!海!」




「いや、ちょい待ってくれ…混乱してるのはお前だけじゃない……ん?」




周りを見渡すと牢屋の中にいるのは俺たちだけではなかった。


ボロボロの服を着て俺たちを怯えるような目で見ていた。




なんだよこれ、本などで、よくでてくる奴隷のような格好をさせられて、みんな瘦せ細っている。








「あ、あの…ここは何処でしょうか?」




とりあえず訪ねてみたが、誰1人として返事は返ってこない。




「あのーすみません」




「ヒィッ」




何の反応もない為、一番近くにいた男性に近寄ろうとしたらびっくりするぐらいビビられた。


つかさじゃないんだぞ俺は、、ちょっと凹むなこの反応…


どうしたらいいかわからず立ち往生していると


つかさが俺の肩を掴んできた。




「本気で意味がわからんけど今は裕太の事で悲しんでる場合じゃなさそうやな、とりあえず冷静になれよ海」






イデデデデデッ


痛い痛い!!


こいつ全然冷静じゃない俺の肩を潰す気か馬鹿力




「ちょっ、、つかさ!わかったから!ちょっと手離してくれ!潰れる、、!」




「あっ悪い悪い」




俺は何とかつかさから解放され、今の事態について考えていた。


けど、これは本当にどうした物か、誰かに聞こうにも話しができる雰囲気じゃないし、近寄ろうとすると怯えられる何かいい方法は…




「なぁ、君ら」




俺がぐっちゃぐちゃの頭の中を整理していると


1人の男が俺たちに話しかけてきた。




「君らのその服装はなんだ?」




その男は服こそボロボロだが、黒髪の短髪、筋肉質な身体に健康的な肌の色、この場には不釣り合いな存在に思えた。




「普通の高校の制服ですが…わかりますか?」




とりあえず俺は男の質問に答える




「やっぱりか!なら君らも転生してこの世界につれて来られたのか!?」




転生?転生って確か、神様のミスか何かで死んだ人間が違う異世界に生まれ変わるって事だよな?




「いえ、俺たちは一度も死んでません、、道を歩いていたらいきなり視界が真っ暗になって、暗闇が晴れたと思ったらここに……あなたは何か知ってるんですか!?」




この男の発言からするに、ここは異世界でこの男は一度死んでこの世界に転生したって事だよな。


普通ならこんな話し笑って流すが、状況が状況だ。


とりあえず今の所手がかりはこの男しかいない。




「死んでないのにこの世界にきた?異世界召喚ってやつか?けど、さっきの君らは召喚ってよりいきなりパッと現れたって感じに見えたが…」




馬鹿みたいな話しだが俺たちの今いる場所は異世界らしい。信じられる訳がないが、信じない訳にもいかない、とりあえず今は様子を見るしかない。




「てか、どうしたん?つかさ、さっきからずっと黙って?」




「お前、…何でここにおるんや……何でお前が生きてんや!!」




「おい!つかさ!どないしたんや!?」




つかさはいきなり男に掴みかかり拳を男の顔面に叩きつけた。




「う、ぐぅ…いきなり何をする…」




俺は何とか興奮状態のつかさを抑えつけた。




「こいつや、あの時…あの時居眠り運転で俺らに突っ込んできたトラックの運転手や!こいつが!!こいつが裕太を殺したんや!!見た目は多少変わってるけど間違いない!俺はあの時に見た!忘れたくても


忘れられへんこいつの顔おぉぉぉ!!」




今にも男の事を殺しかねない勢いのつかさを止めるのはもう限界だった。俺の腕を振り払いまた男に殴りかかろうとした瞬間、つかさの体が鉄格子の方に吹き飛んだ。そのままつかさは気を失ったのか動かなくなってしまった。




「なっ!おい!!あんた何したんや!」




「痛てて…力づくになって悪いな、けどそのにいちゃん話し聞いてくれそうになかったからな、にいちゃんはちょっと落ち着いてくれ、話しがしたい」




今までの口調とは少し変わり


関西弁混じりの口調でその男は話した




その時檻の外から足音が響いてきた




「おい!お前らうるさいぞ!拷問されたいのか!」




なんだ?看守か何かか?


俺は歩いてくる人間を確認する為鉄格子に


近付こうとした、しかしものすごい力で襟の部分を


引っ張られた。




「おい、にいちゃん静かにせぇ、そこの倒れてるにいちゃんと一緒に俺らの後ろに隠れろ」






-------




「おい、騒いでたのは貴様か?それとも貴様か?」




「……………」




「無視か貴様ら、まぁいい次騒ぐような事があったら最初に目に付いた者から拷問にかけていく、わかったな!」




どうやら看守は去っていったようだ




「にいちゃん、とりあえずもうでてきていいぞ」




「さっきのは?」




「あぁ、まぁここをでた後でゆっくり話してやる。とりあえずさっきのにいちゃんが言ってた裕太ってのはもしかして美濃裕太の事か?」




「知ってるんですか!?」




「顔見知りだからな、それに死んじゃいない」




「なっ!!」




「まぁ正確には死んだが、こっちの世界に生き返ったが正しいんだろうけどな、とりあえず詳しい事は後だ、ここをでるぞ!」




「いやっ!でもっ!!」




「わかってる、にいちゃんの言いたい事は…後で必ずちゃんと話す、だから今は言う通りにしてくれ」




そうだ、とりあえず今はこの状況を何とかするのが先決だろう、俺は渋々男の言う事を了承した。しかし




「出れるんですか?」




「あぁその為に俺はここにいるから…よし!とりあえずみんな後ろに下がってろ!」




男はそう言うと鉄格子を正面にして仁王立ちをした。




「鎧戦車」




男がそう唱えると男の体が淡い光に包まれ頑丈そうな鎧で包まれた。




「行くぞ」




そして、少し勢いをつけ鉄格子にタックルした、


その瞬間凄まじい轟音と同時に鉄格子が砕け散った。




「何だよ…今の…」




「おい!みんな少し待っててくれ!地上の安全確保が出来次第もう一度ここに戻ってくる」




男はそう言うと先程看守が去っていった方向に歩き出した。




「おい!何ださっきの音は!…ってっ貴様!なぜ外にでていっぐぅえ」




ゴキっと言う鈍い音がした後、看守の声はそれっきり聞こえなくなった。


その後上では看守の仲間と思われる人間達の怒鳴り声、叫び声、轟音などが聞こえしばらくすると、人の声が聞こえなくなった。




「みんな待たせたな、あまり周りは見ない方がいい、とりあえず付いてきてくれ」




俺は気を失っているつかさをおぶりとりあえず男について行く事にした。




「あのもうお話しを伺っても大丈夫ですか?」




「ん?あぁそうだな、けどここじゃ何だからとりあえず俺たちの城に行くか」




「城?」




「まぁ行けば分かる」




俺たちは牢屋の中にいた人間達と一緒に地上にでた、


どうやら俺たちがいた場所は地下だったらしい。


地上にでると、男の仲間と思われる白いタキシードのような服装をした男達が大きな荷台をひいた馬車に地下にいた人々を誘導していた。

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