第2話 さらば世界2

俺が目を覚ますとそこは病院の


ベットの上だった。




「いつつ」




結構強く頭を打ったらしい


後頭部にはガーゼのような物があてられ


頭には包帯が巻かれていた。


裕太がいきなり突進なんかしてくるから。


ふと横を見るとつかさが座っていた。




「よぉ、具合どうや?お前10時間ぐらい寝てたんやぞ」




「まじかよ、裕太あいつ何処いった?一発ぐらいどついたらな気すまん」




「……………」




「ん?つかさ?」




「……、…だ」




「なんて?どうしたん?」




歯切れが悪い。


いつものつかさらしくない。




「………んだ」




よく聞こえなかったが大体何を


言っているかはわかった。


けど、俺はこの時冗談を言ってる


物だと思っていた。




「死んだ?あの世に逃げられたんじゃあどつくもんもどつかれへんな!」




「………………………」




沈黙が続く病室。




「冗談でもドッキリでもないで」




俺はつかさの真剣な表情を見て


嘘ではないと悟った。


それと同時に頭の中では何がなんやら


わからずぐちゃぐちゃになっていた。






「裕太はな、お前を助けて死んだんや。……あの時お前の後ろからトラックがすごい勢いで突っ込んできててん。お前は全く気付く様子がなかって、、、俺は全く動かれへんかった、それやのに裕太は……」




俺は声がでなかった。


話そうとしてるのに喉の奥に何か


突っかかってる感じがして、


そこから先は話されなくても理解できた。


俺の後ろからトラックが突っ込んできて


裕太は俺を助ける為に俺を


突き飛ばした。それで、裕太は俺の


身代わりとなってそのままトラックに…




「即死やったって…。俺は目の前で………声もでえへんかって……………。。。お通夜は明日やから……お前も目覚ましたら退院できるってさっき言っとったから明日朝迎えに行くわ。ほな、また明日な」




「ちょ、、まっ……て…………」




そこから先は親が来たり先生が来たり色々したが何の話をしたのかは覚えてない。




信じられなかった。


いや、心の中では現実を受け止めていた。


けど、信じたくなかった。


だが不思議と涙はでなかった。


感情がそのまま凍ってしまったかのように。






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お通夜が終わり、帰り道




「あいつら裕太の何を知ってんな、ワンワン泣き叫びやがって。喋った事もない奴もおったやろ、胸糞悪いわ、海、今からもう一発飲み直しや、裕太も辛気臭いのは嫌やろ」




俺らは裕太の死を受け入れる事ができず


酒で誤魔化そうとしていた、


未成年という立場でも俺たちに


何かを言ってくる大人はいなかった




何て言葉をかければいいのかわからなかったのだろう。




「あぁ、………」




「……海…お前が責任を感じるのも分かる。けど俺も何もできんかった。お前だけが悪いんと違う」




「…あぁ」




「元気だそうとは言わんけど、俺はこれから裕太の為にできる事を考えようと思う」




「そうやな……ありがとうな」




「?、何のお礼やねん」




つかさが強がっているのは誰が見ても分かる状態だった。目は充血してクマがひどい。寝てないのだろう。そりゃあそうかもしれない、意識を失っていた俺なんかより、目の前で裕太が死ぬのを見たのだ。




「そういや、運転手はどうなった?」




「運転手も即死やったらしいわ、居眠り運転やとよ、許されへんけど、その許されへん相手が死んどったらどないしたらええんやろな……」




「………………よし!今日は裕太が笑っていけるように飲みまくろか!」








俺とつかさはそこから3人の思い出話しや


これからの事について話しあいながら


もう一度飲み直す為にスーパーに


向かっていた。




その時突如視界がブラックアウトした。


































(あなた達はこの世界に不要と判断されました。よって異世界に転移して頂きます。)


































いつもの帰り道


いつもの会話


いつもの光景


そんな毎日が当たり前と思っていた


その機械質な意味深な言葉で


俺たちの日常は終わりを告げた。

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