第33首 紀友則(古今集)

ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ


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こんなにも日の光が降りそそいでいるのどかな春の日であるのに、どうして落着いた心もなく、花は散っていくのだろうか。


(出典:百人一首.com)

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時が静かに動いていきます。


花の落ちる。

ひらひらとした、もどかしい速さで。


降り注ぐ日差しは。

温かい筈なのに。


私の心は。

どうして、切ないのでしょうか。


散る恋心は。

目の前に踊る。


花びらのようで。


貴方を。

恨めしく想ってしまいます。


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紀 友則(き の とものり)は、平安時代前期の官人・歌人。宮内権少輔・紀有友(有朋)の子。官位は六位・大内記。三十六歌仙の一人。

40歳過ぎまで無官であったが、和歌には巧みで多くの歌合に出詠している。寛平9年(897年)に土佐掾、翌昌泰元年(898年)に少内記、延喜4年(904年)に大内記に任ぜられる。


逸話

寛平年間に禁中で行われた歌合に参加した際、友則は左列にいて「初雁」という秋の題で和歌を競うことになった。そこで「春霞かすみて往にし雁がねは今ぞ鳴くなる秋霧の上に(=春霞にかすんで飛び去った雁が、今また鳴くのが聞こえる。秋霧の上に)」と詠んだ。右列の者たちは「春霞」という初句を聞いたときに季節が違うと思って笑ったが、第二句以下の展開を聞くに及んで、逆に面目なく感じ黙り込んでしまった。そして、これが友則の出世のきっかけになったという。なお、この歌は『古今和歌集』秋上では「題しらず よみ人しらず」とされている。


※ウイキペディア フリー百科事典より



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