第四十六話 桃子 観察者
『あれ~、ここは~?』
花ちゃんから、カーティアナと言う異世界に行くって聞いたんだけど~。
目の前には沢山の画面が表示されていて、その画面には知らない人達が映し出されていた~。
でも、真ん中の大きな画面には、情報教室にいる花ちゃんが映っている~。
『来たのね』
『えっと~、どなたですか~?』
『私はフィルリシアよ。貴方達が花ちゃんと呼んでいるキャロリシアの双子の妹よ』
『そうなんですね~』
『あまり驚いていませんね?』
『だって~、状況がよくわからないので~』
『まぁ、そうですね。では、状況を説明しますね』
『お願いします~』
『まず、ここは日本では無く、カーディアナと言う世界です。
桃子さんのクラスメイトは、画面に表示されている方々の中に入っています』
『へぇ~そうなんだ~。あれ~?あたしは確か~治療士だったんだけど~』
『そうだったのですが、桃子さんの受け入れてくれる人が見つからなかった…と言うのは嘘で。
桃子さんは最初から私の所に来て貰う事になっていて、治癒士と言うのも嘘になります』
それで桃子さんは、私の暇つぶし…いえ、話し相手になって貰いますね』
『分かりました~』
良く分からないけれど、フィルリシアさんの話し相手になるだけなら、楽でいいかも~?
『桃子さんのお仕事は、クラスメイトの行動を監視…いいえ、観察をして、危険な目に遭っている人や助けを求めている人がいれば私に教えてください』
『全員を見るのは無理だよ~』
『大丈夫ですよ。画面の縁が黄色なら助けを求めていて、赤色なら危険な目に遭っている状態ですから分かりやすいと思います』
『そうですか~、既に、赤色と黄色がありますよ~?』
『はい、赤色は日向さんで、黄色は祐樹君ですね。日向さんの救助はこれから向かいますが、祐樹君は魔王がどうにかしてくれるので放置で構いません』
『ひな!すぐに助けてあげて~』
『分かってますよ。では、早速向かいましょうね』
ひなが捕まっているのだと知り、一刻も早く助けてあげるようお願いした~。
フィルリシアさんは立ち上がり、ひなが中に入っている猫耳の女性が映っている画面の前に行き、画面を手で触れた~。
すると、目の前が一変し、猫耳の女性の前にフィルリシアさんが立っていた~。
当然、あたしもフィルリシアさんの中に入っているので、一緒に移動している~。
フィルリシアさんは、猫耳の女性に繋がっている鎖を魔法?で破壊し、猫耳の女性を連れて一瞬で違う場所に移動した~。
それから、猫耳の女性が剣が無いと言うので。フィルリシアさんが剣を取に戻り、色々な物が置いてある場所から迷わず剣を持ち出して、また猫耳の女性がいる場所に戻って剣を渡した~。
そしてまた、画面がいっぱいある部屋へと一瞬で戻って来た~。
『ひなは、あのまま放置していて良かったの~?』
『日向さんが心配なのは分かりますが、猫獣人のティルローゼさんはこの様な状況に慣れていますので大丈夫です。
それに、守る魔法を掛けて来ましたので、夜明けまでは襲われる事はありませんからね』
『そうなんだ、ありがとう~』
ひなが無事だと知り安心した~。
それに、ひなは頑張り屋だから、こんな状況でも頑張って行けると思う~。
『暫くは暇になりますので、桃子さんの話を聞かせてください』
『あたしの話~?』
『はい、実は私もキャロリシアの目を通して、皆さんの楽しそうな学校生活を見ていたんですよ』
『そうなんだ~、でも、あたしの話と言っても面白くも何ともないよ~?』
『そんな事はありませんので、是非とも聞かせてください!』
『分かった~』
と言ったけれど、何を話していいのか分からない~。
取り合えず、あたしの家族の事から話す事にした~。
あたしの家は両親と三人暮らしで、仲の良い家族だと思う~。
パパは普通のサラリーマンで、帰りは何時も遅い~。
ママは近くのスーパーでパートとして働いているけれど、あたしが帰宅する前には帰って来ている~。
両親にこれと言った趣味は無く、休みの日は家でごろごろして過ごしている~。
あたしも同じく趣味と言う物は無く、ゆーかとひなと遊ぶくらいかな~。
あたしの家で、唯一自慢できるのは食事かな~?
パパもママも、食事に関してだけはかなりこだわっている~。
ママは頑張って毎日美味しい料理を作ってくれるし、パパも美味しそうな食材をどこからともなく買って来たり、週末には夫婦そろって料理の研究をしている~。
あたしは食べる専門で、料理に興味はないかな~。
でも、美味しい食事は食べたいし~、その内ママから料理を教わろうとは思っている~。
将来結婚したら、旦那さんに美味しい料理を食べさせてあげたいから~。
でも、あたしは太っていて、ゆーこやひなみたいにモテないんいんだよね~。
ゆーかは、あたしが痩せればモテる様になると言ってくれるけれど、痩せるなんて無理~。
今までも、何度もダイエットに挑戦して失敗しているし~、ママの作った美味しい料理を我慢するのは出来ない~。
世の中には、太っている方が好きっている人もいる事だし~、このままでも良いかな~。
『駄目に決まってるわよ!』
『なんで~?』
『人が好意を寄せるには、先ず見た目が一番重要なの!例えば桃子さんも、顔が不細工な人とは話したいと思わないわよね?』
『うん~』
『男性も同じで、太っている人と話そうともしないわよ!』
『そんなぁ~』
『そうね、将来結婚相手を選ぶ時に、桃子さんは何を基準にします?』
『うーん、やっぱりお金かな~?お金が無いと子供を育てられないし、美味しい食事も食べられない~』
『女性はそう思うわよね。では男性は女性にお金を求めない代わりに、美しさや可愛らしさを求めるのよ。
お金持ちほど、その傾向は高くなって行くのよ!
桃子さんは、デブ専の貧乏と結婚したくないわよね?』
『それは嫌~』
『だったら痩せるしか無いわよ!』
『う~、痩せる魔法とか無いの~?』
『ないとは言いませんが、体を魔法で斬り刻んで脂肪を取り除き、その後に傷跡を治療するくらいでしょうね』
『痛いのは嫌~』
『キャロリシアも魔法は使ってくれないでしょうし、桃子さんが心を入れ替えて痩せるしか方法はありません』
『出来るかな~?』
『その為に、桃子さんはここに来て貰ったのですよ。私と一緒にクラスメイトの頑張る姿を見て、桃子さんは自分の事をよく考えてくださいね』
『分かりました~』
皆の努力する姿を見て、あたしの何かが変わるかは分からないけれど~、痩せる為にはあたしも努力しないといけないのは良く分かった~。
クラスメイトには悪いけれど、皆の様子を見させて貰おうと思う~。
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