第132話 美少女、最下層に突入する。
あたしたち6人が
軽く意識が混濁して、気がついたときは、見渡す限りの湿地帯が広がっていた。
第13層。ダンジョンの主が住まう最下層への入口に到達したんだ。
アタシたちは、スマホに登録されてある最下層への魔法陣に向かって歩みを進める。まだ出来たばかりのダンジョンだからだろう。ダンジョンに巣食うモンスターは、どれも1メートルにも満たない大きさで、6人パーティーの大所帯の探索隊に気がつくなり、一目散に逃げていく。
歩くこと30分、アタシたちは難なく、魔法陣が沈む池へと到着した。
到着後、まずはベースキャンプを設営する。今のところ、最深層の広さもわからないし、不測の事態が起こった時に、応急手当を施せるようにするためだ。
「それじゃあ、バックアップはジブンに任せてくださいッス」
折りたたみ式のホバーボートを組み上げた鈴木さんが、試運転をしながら声を張る。
鈴木さんはバックアップ要員としてここで待機する。重症人が出た場合は、鈴木さんが担いでダンジョンの外まで連れて行く算段だ。(ダンジョンの外では、救急スタッフが待機してくれている)
なんだろう。
でも正直、ここまで慎重になる必要があるのかな?
このダンジョンの主は、
アタシは、彼女たちが生まれたときを思いだす。まだ耳が垂れていて、目も開いていなくて、お母さんのお乳をいっぱい飲んで、かわいい寝息を立てていた。
あんな可愛らしいコたちが、人に危害を加えるだなんて、とてもじゃないけれど想像だにできない。
親離れの瞬間まで、いっしょにお世話をしていたアタシのことならきっと覚えてくれているはずだ。いたずらに攻撃をしかけてくるとは思えない。
だったら、ダンジョンに封印するんじゃなくて、地上に連れ帰って、姉妹のハッちゃん、ナナちゃん、キューちゃんといっしょに暮らすのが一番幸せなはずだ。
「ロカ、ベースキャンプの準備はできた。最下層にいくぞ!」
「うん、わかったよ、おじさん!」
アタシは指揮棒で作り出した、緑と青のマナの塊を池の中に放り込むと、水面にそっと触って意識を集中する。
「コーディング! でもってフロート!!」
エメラルドに輝くプヨンプヨンの水面が宙に浮かぶと、池の底にあった紫色の魔法陣があらわになる。
鈴木さんをのぞく、アタシ、カンコさん、ミライさん、田中さん、そしておじさんは、ぬかるむ地面に気をつけながら紫色の魔法陣の中へと入る。
「みんな、絶対に無事で戻ってくるッスよ!!」
鈴木さんのエールを受けながら、アタシたちは魔法陣のフチから立ち昇る、紫色の光りに包まれて最下層へと転送された。
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