第130話 美少女のモーニングルーティーン
ピピピピ……ピピピピ……。
朝5時55分。アタシはスマホのタイマーで目を覚ます。
JKダンジョン配信者の朝は早い。
「おはよう! タラちゃん!」
「ふご?」
アタシは寝ぼけまなこのペットのパグの『タラオ』のほっぺたにキスをすると、アタシの髪色と同じ、パールホワイトのオーバーサイズのジャージに着替える。
「タラちゃん、お散歩行くよ♪」
「ふご! ふごごごご!」
〝おさんぽ〟と聞いてタラオは鼻を鳴らしながら、ブンブンとちぎれんばかりに尻尾を左右に振り回した。
アタシは、タラオを抱っこして1階のダイニングに行くと、コップ一杯の水をのんでから、玄関のクロークに置いてあるお散歩バッグを持って、タラオと一緒に散歩に出かけた。
「ふご♪ ふご♪ ふご♪ ふご♪」
(いち……に……さん……よん……)
タラオを散歩する30分間のあいだ、アタシは握力強化のハンドグリップを握り続ける。
アタシの武器の指揮棒は、超高濃度シェールストーン製で、見た目に反して1キロ近くある。指揮棒を寸分違わず操る必要があるから、握力は、アタシのバトルスタイルの生命線と言っていい。
「ふご♪ ふご♪ ふご♪ ふご♪」
(いち……に……さん……よん……)
アタシはタラオとの30分間の散歩のあいだ。たっぷりと握力のトレーニングをしたあと、タラオにご飯をあげて、シャワーを浴びる。
そうしてバスルームからあがると、あたしはようく身体をふいて、裸のままで自分の部屋にもどる。
アタシが朝のルーティーンで一番大事にしている、ストレッチだ。
アタシは、姿見の前に立つと、ゆっくりとストレッチをはじめる。
アタシの戦闘スタイルは、オールレンジ起動型。
黄色いマナを吸って、身体能力を極限まで向上させてからの、緑のマナの竜巻をつかった高速移動。
どんな体制からでも高速移動を可能にするためには、身体の可動域は広ければ広いほどいい。
ふう。
あたしは、たっぷりと全身をほぐすと、改めて姿見の前にたって、部屋に飾っているカノエさんのポスターと同じポーズをとる。
(うん。悪くない。アタシ結構イケてる)
カノエさんまでとはいかないけれど、身体もずいぶんと絞れてきた。
……もっとも、カノエさんみたく、人前でヌードになる自信まではないけれど。
ピピピピ……ピピピピ……。
朝7時15分。そろそろ出かける時間だ。アタシはスマホのアラームを止めると、探索用のユニフォームを着て、髪をサイドテールにまとめる。
そうしてキッチンに行って冷蔵庫に入っているスムージーを飲み干してから、玄関に行って探索用のブーツを履く。
「ふごふご!!」
「タラちゃん、行ってくるね!」
毎日必ず玄関までお見送りをしてくれるタラオの頭をわしゃわしゃとなでていると、
ドタドタドタ!
パパが大急ぎで階段を降りてきた。
パジャマのまま、髪の毛は寝癖でボサボサだ。
「はあ……はあ……ロカ、絶対に無事で戻ってくるんだぞ!」
「ブヒブヒ?」
「大丈夫! おじさん達がいるんだもん!!」
「そうか……そうだな。頑張れよロカ!」
「ブヒブヒ!!」
「ありがとう、パパ、タラちゃん!! 行ってきます!」
アタシは、パパとタラちゃんに手を振ると、弾けるように家を飛び出した。
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