第113話 美少女、裏鬼門のダンジョンに挑戦する。
*ここからしばらくロカ視点のお話です。
カーバンクルランドで
今日はいよいよ
アタシはいつもの通り、5時55分に起きて朝のルーティーンを済ませると、クロップドトップスとミニスカートに着替えて髪の毛をサイドテールにセットする。
これがアタシの探索ユニフォーム。アタシの勝負スタイルだ。
「ふごふご」
「タラちゃん、お見送りしてくれるの?」
「ふご、ふふご!」
アタシは玄関まで着てくれたタラちゃんをなでなでしていると、
「ふわぁぁぁあ! おはようロカ」
「おはよう! パパ!!」
寝ぼけまなこのパパも起きてきた。
「そうか……いよいよ今日なんだな」
「うん。アタシのこと、心配?」
「ふごふご?」
アタシとタラちゃんは小首をかしげる。
「そりゃ心配だよ。心配をしない親なんてどこにもいやしない。ただ、お前の決めた道なんだ。パパは信じて見送るしか無い」
「大丈夫だって! おじさんだっているし、他のメンバーも超一流の探索者だから!!」
「ふごふご!!」
アタシとタラちゃんが胸をはると、パパはほんの少し、顔をゆるめる。
「まあ、俺はロカと
「ふごふご!!」
「ありがとう、パパ、タラちゃん! それじゃ、アタシ行ってくるね!」
アタシはパパとタラオに背中を押されて、弾けるように家を飛び出した。
・
・
・
アタシは集合時間の20分前に
「早いな、ロカ」
「おじさんのほうが早いじゃん」
一番乗りのおじさんがアタシに声をかけてくる。
おじさんはいつものちょっとくたびれたジャージ姿に食料を詰め込んだリュックを背負っている。
おじさんと挨拶をかわすと、次々とメンバーが集まってきた。
「
「ご無沙汰ッス!!」
「ねー。ロカちゃんもひさしぶりー」
「見ましたよ! ゆるダンチャンネル!! ミライさん、めっちゃ凄いじゃないですか!!」
「えへへー。
ミライさんは、
『遠隔の星』と『自我の星』の両方の持つミライさんの、アウトレンジからの超火力ファイアボールでケルベロスを行動不能におとしいれる。
「お、皆さんおそろいで!」
最後にやってきたのが、カーバンクルランドの園長の
15年前、まだダンジョンが未知の脅威だった時代に、おじさんやササメさんたちと一緒にダンジョン探索成功した最初の10人。そのメンバーのひとりだ。
「師匠、おひさしぶりです!」
「おひさしぶりっす!!」
「ふたりともずいぶんと老けたねぇ!」
「師匠が若すぎるんですよ!」
「そうッス! 見た目小学生は反則っすよ!!」
カンコさんは、ササメさんと同い年らしい。ササメさんはダンジョンの最深部で15年間生活した副作用で、今も大学生と見間違えるくらいの若さだ。
カンコさんもササメさんと同じ、ダンジョンの最深部で8年ほど生活をしたらしい。でも、いくらなんでも小学生まで若返るなんて……カンコさんの特殊体質のせいらしいけれど。
「これで、全員揃ったよね!」
アタシが言うと、おじさんがかぶりをふる。
「いや、もうひとり合流する」
「え? 探索メンバーって6人だよね。もう全員そろっていない?」
「ああ。だがもうひとり、地図職人と合流する予定だ」
「地図職人?」
「ロカ、おまえも知っていると思うが、ダンジョンの階層移動には魔法陣をつかうだろう」
「うん」
「その装置を魔法陣を設置しているのが地図職人だ。他にも、階層のマップ作成をやったり、各階層のモンスター情報を集めたりと、その任務は多岐にわたる。未攻略のダンジョンの案内役も任務のうちのひとつだ」
なるほど、そんな専門職があるんだ。新人探索者のアタシはまだまだ知らないことが多い。
アタシが熱心におじさんの話を聞いているときだった。
「……1、2、3、4、5、6。全員そろった」
「うひゃあ!」
突然、後ろから話しかけられてアタシは腰が抜けそうになっていると、おじさんはここなしかはずんだ声で、アタシの後ろに突然現れた男の人に話しかける。
「
「……いや、そんなんじゃない。この仕事は稼ぎがいい。それだけ」
アタシは後ろを向いて、
「それじゃ、さっそく仕事」
そう言って
ブゥウウウン!
突然地面から紫色の光の柱が立ち込める。魔法陣だ。
「最深層までの案内。ついてきて」
そう言うと、
「俺たちも急ごう」
そう言うとおじさんは魔法陣へとむかっていく。アタシも大慌てでおじさんを追いかけていくと、第12層の魔法陣へと入っていった。
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