第107話 おじさん、元同僚と再開する。
S浜空港につくと、俺たちは荷物を受け取って、タクシー乗り場に向かう。
カーバンクルランドはS浜空港から車で10分。空港初のバスもあり、かなりの好立地だ。
タクシー乗り場でタクシーを捕まえると、俺は助手席、ロカとヒサメは後部座席に座る。
ヒサメは後部座席に座るなり、トートバックから化粧ポーチを取りだして、髪型を手早くなおすと、化粧崩れがないか入念にチェックをする。
そういえば白のワンピースだなんて、ずいぶんと可愛らしい格好をしているじゃないか。
男勝りなグレースーツのパンツルック姿を見慣れているから、年頃の女性らしいおめかしをした、義理の妹の姿がいやに新鮮だ。
? いったいどういう風の吹き回しだ??
タクシーに乗ってカーバンクルランドに到着したのは9時20分。開園にはまだまだ時間がある。ヒサメが通用口の前で電話をかけると、ほどなくひとりの青年が訪れた。
赤いオーバーオールに麦わら帽を首にかけた青年は、胸のポケットから鍵の束を取り出して鍵を開けると、さわやかな笑顔で話しかけてくる。
「お久しぶりです。
「ん? ひょっとして
「おかげさまで、長年の夢がかないまして」
「
「はい。俺です! 今はヒサメさんの紹介で、カーバンクルランドで見習い飼育員をやっています。夢は自分の幻獣牧場をもつことです!!」
そう言って、
「そうなのか! 良かった。よーーかったーー。ほら、最近、
「こっちもですよ!
そう言って、
「ええっ!? よく
「俺もそう思います。あちこち手抜き工事でもしない限り、絶対に間に合わないスケジュールでしたから。そういう意味では、
「もうとっくに取り返しのつかない事が起こっているわよ!」
ヒサメが興奮気味に、俺と
「
「
「そう、
「な……なんだってーーーーー!!」
空いた口がふさがらないとは、まさにこのことだ。
「
「え? どういうこと??」
ロカが首をかしげる。俺は手で顔をおおうと、半ばキレ気味で
「俺たちが探索してたとき、低層階にサイクロプス型が現れたろう。あれは本来、ケルベロスの頭部を抑え込んでいる鉄柱の守護する番人として生み出された式神だ。あいつらが低層階に現れたのは、
「ええ~!?」
ササメが俺の話をひきつぐ。
「
「なにそれ!? その
憤慨しているロカに、
「そして
「ええ? あの趣味の悪い紫のスーツを着てたのが
なんてこった。
ひょっとして、新しくできた
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*今回登場した
仕事をクビになった日にケルベロスを拾った。〜食費を稼ぐために配信者になったらバズりが止まりません〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330654639943670
ヒサメさんが入念にメイクをチェックしている理由もわかりますのでよろしければ。
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